第19話 俺 to bay side touring - 2-
※ ※ ※
モカと、バイク用品を見ていて、パンツはウニクロとかワークメンで探すことになり、ここではグローブや帽子などの小物を一緒に選び購入していた。
ヘルメットも欲しいと言っていたが高価なので、バイト代が貯まったら、俺と色違いのを買うそうだ。
嬉しいことに、もっと一緒にツーリングに行きたいという話も出たので、ヘルメットにつけるトランシーバーのことを教えるとものびっくりするくらい、食いついてきた。
…インカムは俺が購入することにした。
あっという間に昼になってしまい、久美たちと合流する。
2人はすでに待ち合わせ場所のラーメン屋に来ており、ボックス席に座っていた。
2人は並んで座っていたので俺たちも向かい側にすわった。
それぞれが注文し、ラーメンが来るまでのトークタイム。
「君ら、デートならもっとムードのあるお店に選んだらどうなんだい?」
と、俺が二人に聞くと。
「そっくりそのまま返すわ。」
と久美から。
「俺は良いと思うぜ、久美も俺もここのラーメン大好きだよ?唐揚げも旨いし。こういうところの方が寛げていいんだよ。」
と、仁からフォローが入るが真面目に返されるとは思わなかった。寛げてとか爺さんか?
という俺も、店長は良い人だし、俺も大好きなんだけどね。
この街中華の雰囲気最高!
「この店は、カモガワバイク壮行会の行きつけだもんな。父さんともよく来たよ。モカは初めてだよな?」
「うん。萌君の想い出の場所に来れてうれしいです。」
「おーい、二人の世界に入っているところ悪いが、二人は本当に友達なのか?それ以上ではなく?ハジメがみたこともない優しい笑顔を浮かべていたが…。」
なぜか、仁から確認が入る。
「そうですね。今のところは友達なのでしょうね…。
私自身の気持ちはもう伝えてありますから、あとは萌君次第ですね。でも、萌君のお父さんのこともありますし、私は気長に待つつもりですよ。」
「そうよね。萌香は昔っから変わらず一筋だものね。こいつは、変なのに引っかかっていたけど。その上皆に心配かけて、この愚弟は!」
棘を刺してきた。自分が悪いんだから仕方ないが…。
しかし、弟になったつもりはない。
怖いから言い返せないけどな。
「その節はご迷惑をおかけしました。」
久美と仁に頭を下げる。
「わかれば良し!二度と私たちを遠ざけたりしないでよ!今度は許さないからね!今度こそ、萌香を大切にしなさい。あの時だって大変だったんだからね。」
「その節はご面倒をおかけいたしました。」
今度は、モカが二人に頭を下げている。なにがあったの?
「もう、いいから。加賀さんも生徒会に入るみたいだし、みんな仲良くしようよ。案外似た者同士なのかな…?」
と、仁が締めるが…。
「え?生徒会に入るの?いつ決まったの?欠員いたっけ?」
「昨日の夜、校長先生と石井先生、神田先生から誘われまして。欠員のある補助役で入ることになりそうです。」
俺が、驚いていると…。
「よっ!みんなお待たせ!
スペシャルラーメンと半チャーハンだ!
から揚げは俺からのおまけだ!しっかり食ってけよ!
萌!いい顔してんじゃねーか。やっぱり親父さんに似てきてるよ。雰囲気もある。
可愛い彼女も連れて、いい男になったじゃねーか!ガハハハッ」
普段無口な店長が一方的に捲し立て、かっこよく?去っていく。
その背中に向かって、
「「「あざっす!店長ゴチなりまーすっ!」」」
と、お礼を申し上げる。が、可愛い彼女?
「あんなに上機嫌に話をする店長超レアなんですけど。
彼女って、萌香のこと言ってんじゃないのぉ?」
久美が失礼なことを言っている。
「///私が彼女…。そうならうれしいな…。////」
モカが小さな声で何か言っている。
「良かったな。萌、お前が元気になってみんなうれしいんだと思うぞ。」
仁が喜んでいる。それなら俺もうれしいよ。
「美味しいですね。ここのラーメン。萌君、私この味好きです。」
モカもラーメンにご満悦だ。美味しそうに食べる顔も可愛いな。
俺も食べよ。あぁ唐揚げも旨い。
「ところで、モカの口調って、何で俺には敬語なの?」
「あっ!ごめんなさい。直そうとは努力しているんですが…。」
「いや、気にしなくていいから。少し気になっただけで…。
そういうところも可愛いし。」
「ハジメ、萌香はね。いじめから救ってくれた貴方のことを特別視しているところがあるから。気にしないで上げて、本人も直そうとしているみたいだし。」
「萌君は私のヒーローですからね、ピンチの時には駆けつけてくれるんですよ。そんな貴方の事が私はずっと………なんです。」
「え?最後の方が聞き取れなかったゴメン。しかし、俺がヒーローかぁ…。」
「い、いやですか?困りますか?私のヒーロー?」
「…ヒーローか。嫌じゃないんだ、ないんだけどなぁ」
「萌がこんな色んな表情になるの初めて見たよ。こいつの親友として断言できるけど、萌が困っているのは、自分にその資格があるかってことだろ?父親の事も含めて色々ありすぎたから自信喪失してたんだよ。自分の過小評価している節もあるからさ。少しめんどくさいけど萌の事よろしくな。加賀さん。」
「そうなんだね!萌君は誰が何と言おうとも昔から私のヒーローなんですよ。資格とではなくて、傍にいてほしいんです。」
顔を真っ赤にして、モカが言う。
ここまで言わせておいて、応えないのは男が廃る。
「仁の言う通りかもな。でもな、俺なんかで良ければ、モカの傍で必ずモカの事守ってやるから。俺なんかにこんなこと言われたら困るよな、ゴメン。」
思わず謝ってしまう。ダセェな俺。
「そんなことありません。さっきも言いましたけど。他の誰でもない貴方に私のヒーローでいてほしいんです。
自信が持てないなら、私がずっと一生でも言い続けますからね。
それから、俺なんかとか、自分を否定するのも禁止しますね。もし、今度言ったらペナルティで抱き着きますから!」
うつむきながら俺の腕に抱き着いてくる。
罰なのに、罰なのにぃ…。恐ろしく幸せだ。
「モカ…。ありがとう。」
「こちらこそですよ、萌君。」
俺たちは思わず見つめ合ってしまう。
それを見てあきれる二人は、
「ねえ、仁君。2人の世界に入ってるし、唐揚げ全部貰っちゃおっか?ラーメンも伸びたら悪いし。」
「そうだな。2人には悪いがおいしくいただいてしまおう。」
「なあ、久美?」
「なに?仁君」
「俺も、貴女のヒーローになれるかな?」
「ヒーローかぁ、仁君の場合は私の王子様かな?」
「え?それどういう意味!?俺も久美の特別な存在ってこと?」
「…うん。さ、早く食べよ!店長に怒られちゃうよ。」
仁から見た久美も顔を真っ赤にしてしていた。
仁は萌程は鈍くはない。
仁も徐々に男を魅せる刻が迫ってきていた。(男塾風)
そして、ラーメンが冷め始めるまで見つめあう萌と萌香であった。
もちろん全部美味しくいただきましたよ。
※ ※ ※
この後、夕方まで4人で遊び、バイトが入っている俺はモカと先に帰った。
俺たちが帰った後、
仁のSR400できていた2人はタンデムで海岸付近まで移動していた。
夕日のせいもあるかもしれないが、顔を真っ赤に染めた二人は仲良く手をつないでベイサイドを歩いていたそうな…。
※ ※ ※
俺は、今日もラストまでのバイトだったので、汗を落とすため帰宅してすぐに風呂に入った。
一人の時間ができるとついモカの事を考えてしまう。
ベットに入ってもモカの事を考えていた。
モカの好意はなんとなくわかるが、好きとはいっても、虐めから救ったときのつり橋効果的な親愛の情なのか、本当に恋愛感情の好きなのか、以前の交際トラブルのことがあり距離感がわからなくなっていた。
あの時のような勘違いがあったらもう立ち直れない。
やはり今の距離が間違いないと思い、自分の気持ちに蓋をして眠ってしまおうとする萌であった。
※ このお話はフィクションです。消防関連の事故を題材に取り上げておりますが日本からの災害派遣に於いて消防官(消防士)の死亡例はありません。実在のお店、メーカー、バイク・車も登場しますが一切、実在の物とは一切関係ございません。ご了承ください。
※ 物語が気に入ってくれましたら星やハート評価よろしくお願いします。
書く時の励みにもなります。 ^^) _旦~~
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