第9話 新たな私の人生 ※聖女の末裔視点
間違いない。私は生まれ変わって、あの世界に辿り着いたんだ!
学校に向かう途中、暴走したトラックに轢かれた。次に目を覚ました時、赤ん坊になっていた。びっくりしたけれど、生まれ変わったんだとすぐに理解した。
何も面白くない人生だった。面倒な両親に、馬鹿な女友達、見た目だけの男ども。くだらない連中に囲まれて生きてきた。もうあんな世界に戻るつもりはない。私は、新しい人生を楽しむんだ。
私の新しい名前は、シャーロット。それを聞いて、もしかするとって思った。その名前は、ファルムス・デウスってゲームのヒロインだったはず。私の予想は当たっていた。どうやら、そのヒロインに生まれ変わったようだ。
なんてことなの! 最高じゃない!
上手くやれば、あのイケメンの王子を攻略することが出来る。彼と結婚することが出来るのよ!
しっかりと覚えているゲームのシナリオを、何度も思い返して確認する。
うん、大丈夫よ。私がこの世界で生きるのに必要なことは、全て思い出している。問題は、あの邪神の扱い方について。
ゲームを進めていくと、クリアするために邪神を倒さないといけない。それは大変だろう。面倒なことは嫌だ。何の痛みもないままで、私は王子様と一緒になりたい。その他のイケメンたちとも、恋愛を楽しみたいわ。前の私の人生は最悪だったから、それぐらいのご褒美はあってもいいと思う。
私は、この世界の主人公になった。だから、あのゲームに登場するキャラクター達は主人公である私を愛するようにしなければいけない。目指すは、完全クリアだけ。
頭の中で想像する。今の私にとって、一番ベストなルートはどれなのか。王子様と一緒になって、他のキャラクターと恋愛を存分に楽しめるシナリオはどれだったか。
考えた結果、邪神を倒すルートがベストだと思った。イケメンの皆で力を合わせて邪神を殺す。それが、私にとって一番都合が良い展開。
邪神を倒した後、悪役令嬢と和解するルートあった。だけど、それは回避しよう。そうしないと、私の愛するイケメン達が悪役令嬢を不憫に思う。そっちに興味を奪われてしまう。それは嫌だ。彼らは、私にだけ注目していれば良い。他の誰にも渡したくない。
邪神を再封印しないと、隠しキャラクターとは出会えないかもしれない。だけど、そのルートは色々と面倒だ。
封印するのも、私の中に邪神を封じ込める必要がある。他の人に封じ込めることは出来ないから、その後の人生を邪神と共に歩むことになるので最悪だ。そんな最悪なイベントは、絶対に回避しないといけない。
だから、隠しキャラクターの攻略は諦めるしかない。私は、王子様と一緒になって幸せに暮らす。他の登場キャラクターと恋愛を楽しむ。それで、満足しておきましょう。
悪役令嬢には、全ての責任を押し付けよう。だって、彼女は悪役なんだから。ちゃんと役目を果たして貰わなくちゃね。
そうすれば、私はハッピーエンドを迎えることができる。そして、私は幸せになれる。完璧だ。そんな完璧な未来を思い描きながら、ゲームのシナリオがスタートする日を待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます