おっさんの咳

小春かぜね

なにをしたいの?

 この物語はフィクションです。

 設定、登場する人物、団体及び名称は一切関係有りません。


 ……


 私は、安月給で有るが一人暮らしをしている。

 まだ、20代の意気盛ん世代女性で有る。

 容姿も、決して悪くは無いだろう!?


 けど、平日は仕事に明け暮れる日々で有るし、休暇も週末以外はほぼ無い。

 世間で言う大型連休は、私も一応貰えるがほんの数日で有る///


 私も大型連休を使って、海外旅行をしてみたい!!

 と、少し愚痴を零しておく///


 ☆


 私は女性だが、お給料の関係で安いアパートに住んでいる。

 セキュリティ万全のマンションも当然憧れたが、そんな家賃支払えるわけないし、私の身分には不相応で有った!?


 私の住んでいる部屋は、築うん十年のアパートで有るが、ガスは都市ガスで有るし、入居前にリフォームをしてくれたので見栄えは良い。

 毎日お風呂に入りたいから、ガスはプロパンでは無く都市ガスに限る!!


 プロパンガス物件だと、基本料金で本気マジ死ねるからね!

 間取りやキッチン周りも案外しっかりしていて、ある程度の料理も作ることが出来る。

 と言うが、私は簡単な料理しか作らない。


 だが、防音性の方は昔ながらのアパートの為、そこは妥協するしか成った。

 その分。立地の割に家賃は安いだろう?

 入居構成も、独身向け設定にされていたので、私は其処に住んでいる。


 ☆


 夏の時期は、窓などを開けるので気にならないが、冬の時期に入り始めると、窓やドアを閉める関係からか、周囲の物音が響きやすくなる。

 窓やドアを閉めることによって、部屋が太鼓現象に成ってしまうのだろう。


『コツ、コツ』などの物を置く音や『ドス、ドス』などの足音。

 そして『ゴホッ、ゴホッ』などの咳き込む音で有る。

 低音系の音は本当に良く響くし、耳障りだ……


 私は節約の為に週末は家に居る事が多く、この時期に成ると自然に、周囲の音に敏感と成ってしまう。

 本当は出掛けたいのだが……そう毎週毎週、出掛けられるほどの金銭的余裕は無い。


『…ゴホッ!』


『…ゴホッ!』


 壁越しから聞こえてくる咳の音。

 私の、隣に住んでいる人からの音で有る。


 その隣人は俗に言う中年男性で有り、嫌な言い方をすれば、完全に婚期を逃した人だろう。

 週末や大型連休でも、独身からか在宅が多くて、咳き込む音が良く響いてくる。


 だけど、この音は日中良く聞こえてくるが、夜に成るとパタンと止まる?

 これは、私に対する嫌がらせなんだろうか??


 初めのうちは『かわいそう…』と感じた時も有ったが、今では『自業自得だろ!』と、考え方が変わってしまった!///

 私の中ではこの隣人を、いい人で見ていないからだ。


 週末はほぼ100%と言って良いぐらい。

 私は隣人が咳き込む音を、日中は聞いて生活する羽目になるのだが、冬の時期は窓を開けて、その咳き込む音を誤魔化すことが出来ない。


 窓を開けられる時期まで我慢するか、私がこのアパートを出て行くか、その人が出て行くまで延々と続くだろう……

 これが、数年続いている。


(タバコなんて吸うから、肺が悪くなるんだよ…!)

(これの所為でベランダ側の窓は、春や秋でも開けられないのに!!)


 その隣人はタバコを吸っており、それも咳き込む一つの要因と成っているのだろう。


 冬以外の時期。

 天気が良くて私が窓を開けていると、そいつも同じように窓を開けていて、隣人タバコの煙が私の部屋にも入って来ては、私は思わず顔をしかめてしまう。

 その所為で、ベランダ側の窓は殆ど封印状態だ。


 ……


 隣人で有るが、私は女性で有ることから、その隣人とは交流を全くしていない。

 下手に好かれても困るからだ!?///


 私の住んでいる地域は回覧板が無いから、近所付き合いの必要性も薄れる。

 隣人でも、完全赤の他人に成るから、咳き込む音も不快に変わる。


(独身男性の末路は悲惨だと、耳にしたことが有るが、まさにその通りだな…)


 孤独の部屋で咳き込んでも、誰も心配はしてくれず、無意味な週末時間だけが流れていく。

 仕事の時に倒れれば、その周囲が助けてくれるだろうが、そうで無ければ孤独死に成るだろう。


 その隣人は終日引き籠もっているわけでは無く、何度か出掛けているようだが、必ず1~2時間で戻って来る?

 これは、私が監視しているのでは無く、ボ○アパートだから、隣人ドアの開閉音が響いて来るからである。

 本人が意識的にドアバンをしていなくても、響いてくればドアバンだ。


 ☆

 

 私にとって、咳き込む隣人は不思議ちゃんで有る!?

 中年男性末路のように週末、大型連休でも在宅して、孤独のタバコを楽しみ、咳き込む……帰省もしていない感じだ。


 彼は、生きていて楽しいのだろうか…?

 多分。インドアの趣味を楽しんでいるのだと思うが、彼の人生に春が来ることは無く、ずっと冬のままで有ろう……


(……私も、人のことは言えないな!///)

(おばさん世代へ入る前に、いい人を見つけて、そして早く、このアパートから巣立たないと…)


(絶対、あんな隣人のような人生送りたくない!)


 隣人の咳き込む音を聞いて、私は彼を反面教師にすることにした。

 孤独は嫌だ……


 ……


 おわり

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おっさんの咳 小春かぜね @koharu_kazene

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