『  』の改変者~【ステータス編集】の特殊能力を得たので現実世界で無双します~

暮伏九郎

第1話「なんか視える」

「なんだよ……これ!?」


 俺がそれ・・を見た瞬間、思わず驚きの声を上げる。


 学校の終わり。俺が電車に乗って下校しているときのこと。突如、俺の視界にこんな文面が現れた。


――――――――――――――――――――――――


隠橋空真いんばしくうま 17歳

HP 90/90

MP100/100


【異能力】

改変リライト


【スキル】

『デブ』『コミュ障』『寝不足』


――――――――――――――――――――――――


 なんなんだ、これ?


 HPに……スキル? まるでゲームかなにかのステータス画面みたいだ。


 というかスキル全部が俺に関する悪口じゃねえか。悪かったな、寝不足デブコミュ障で。


 幻覚を疑って目を擦ってみたり、夢かと頬をつねってみたり。色々やってみるも、目の前のステータスは消えることはない。


 ……まさか、本物?


 ――いやいや、そんなまさか。


 と思いつつも、心の底では興奮していた。


 だって、ステータスだぜ? ステータスが見えるようになるなんて、まるでラノベやアニメの展開みたいだ。


 本来ならここから異世界に行くのがセットだと思うが、高望みはすまい。


「とりあえず、一回ステータスを調べてみるか」


 俺は恐る恐る指を動かし、【異能力】の欄をタップする。


 正直ここが一番気になるからな。


 スキルとかは正直ありがちだけど、この欄だけは妙な異彩を放っている。


 まず調べるとすればここだろう。


「って、お、行けた行けた」


 やはり、と言うべきか。


 俺が【異能力】の欄をタップすると、目の前に表示されていた画面は切り替わる。


 次に表示されたのはこんな画面。


――――――――――――――――――――――――


【異能力】

「異世界から流出した特殊な能力。これを得た者は物理現象を捻じ曲げ、通常発生しない超常現象を引き起こすことができる。ただし使用する際には『魔力』を消費する必要がある」


――――――――――――――――――――――――


「えーと、なになに……」


 異世界とか色々書いてある……が、察するに固有の特殊能力ってことであってるよな。


 ってことは【異能力】の下にあった『改変リライト』っていうのが俺の特殊能力?


 これも詳細を見てみよう。


――――――――――――――――――――――――


改変リライト

「物体・生物のもつ情報データ性質ステータスを自由に改変することができる異能力。


ただしこの能力を発動する際、必要な量の魔力を消費しなければならない。


消費する必要のある魔力は、情報データ性質ステータスの変更の大きさに比例して多くなる。


また、この異能力を持つ者は副次効果として、情報データ性質ステータスの視認が行える」


――――――――――――――――――――――――


 色々書いてあるが、俺が気になったのは最初の一文。


性質ステータスを自由に改変できる?」


 性質ステータスって……俺が最初に見た画面のことであってるよな。


 それを改変できるってことは、【スキル】の欄にあった『デブ』『コミュ障』『寝不足』のバッドステータス。


「それらを改変して、削除できるってことか?」


 いや、削除できるだけじゃない。


「改変ができるってことは、そこからさらに好きな『スキル』を獲得できるってことで……」


 ……あれ、めちゃくちゃ最高じゃん?


 瞬間、俺は先程のステータス画面へと戻り、『寝不足』のスキルを長押しする。


 変化を感じやすく、かつ一番電車の中で消えても問題ないスキル。


 俺はこの異能力の使い方を知っているわけじゃないが、なんとなく、感覚的に能力が発動できる気がした。


「――対象、スキル『寝不足』。改変リライト――」


 少しのタイムラグの後、画面から『寝不足』の文字が消える。


 刹那、霧散していく睡魔。晴れていく脳内。


「この感覚、間違いない」


 突如俺の視界に現れたステータス。

 俺に宿ったという異能力の力。


 それらは全部、幻覚なんかじゃなかった。


「この能力、本物だ――!」

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