第44話




「あれが噂の怪物ね……」


 星崎は眉を逆立てると、表情に剣呑さを帯びていく。


 そこら辺の魔物とは別格だと、一目で理解したようだ。


「朝美。光城くん。鑑定よ」


「は、はい!」


 星崎から指示が飛ぶと、朝美はシャディラスに視線を向けて情報を調べる。


 俺もシャディラスを睨みつけて、鑑定を行った。


【影騎士シャディラス】

 レベル:600

 強大な力になりえるスキルを持つ者を狩る存在。

『影騎士の装備』によって標的を葬ってくる。


「レベル600……!」


 鑑定を終えた朝美は泡を食っていた。


 シャディラスのレベルが、想定を超えて高かったせいだ。おそらくヤツの戦闘能力は、『色褪せし魔城』のダンジョンボスを上回っている。 


 驚かされたのは俺も同じだ。『ラスメモ』では、シャディラスのレベルは500だったはず。


 ゲームではありえないことが起きると予想していたが、まさかシャディラスのレベルがあがっているなんてな。


 だからって、負けるつもりはない。


 自分よりも強いヤツと戦うのは、どんなゲームでも当たり前のことだ。


 それに今の俺には、この世界に来てから出会った仲間たちがいる。


「二人とも戦闘準備よ」


 星崎は流れるような所作で腰に差した鞘から剣を抜き放ち、指示を出す。


 朝美は動揺しながらも「は、はい」と返事をした。


 俺も『辺境遺跡の剣』を抜いて、構えを取る。


 事前に情報があったとはいえ、こうしてシャディラスと相対すると、鎧の下で痺れるような感覚が肌の上を駆け巡っていく。


『ラスメモ』のプロローグで、地上に現れたシャディラスに出会った光城涼介は腰を抜かしてビビり、なにもできずにあっさりと殺されてしまう。


 けど、ここではそんな展開にはさせない。


 逆に俺がアイツの息の根を止めてやる。


【光城涼介】

 レベル:426

 HP:42800/42800

 MP:42000/42400

 攻撃力:4350

 耐久力:4330

 敏捷性:4340

 体力:4320

 知力:4280

 

 自身のステータスを確認すると、宿敵との戦いにのぞむ。




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