クラスメイトに良く当たる占い師を紹介して貰ったら、可愛い彼女が出来ました

第24話 親が帰ってくるの夜になるんだって

　二ヶ月ほどが経ち、紅葉が綺麗な季節になる。俺と星恵ちゃんは、並木道を通って一緒に帰っていた。

「もうすぐハロウィンだね」

「あぁ、そうだね。星恵ちゃんの家は仮装とかやるの？」

「うぅん、やらない。光輝君の家は？」

「家も誰も何もしないな」

「そうなんだ──ねぇ、せっかくだから今年はハロウィンパーティをしてみない？」

　星恵ちゃんは俺の顔を見ながら手を後ろで組み、提案してくる。

「うーん……パーティは良いけど、仮装はちょっとハードルが高そうだな」

「あ、大丈夫だよ。仮装はしなくて良いから御菓子を持ってきて欲しいな」

「あぁ、だったら良いよ。場所は何処にする？」

　俺がそう聞くと、星恵ちゃんは俺から目を逸らすかのように正面を向き、俯き加減で「──家」と言った……気がした。

「え！？　ご、ごめん。とんでもない聞き間違えをしちゃった」

「なんて聞こえたの？」

「──家」

「ふふ、正解！」

「えぇ！」

　仮装よりハードルが高くなっているじゃないか！！！

「丁度その日ね。親が帰ってくるの夜になるんだって。だから夕方にパパっとやっちゃえば、大丈夫」

「そ、そうなんだ……」

　なら……大丈夫か。いずれは星恵ちゃんの両親に御挨拶をしなきゃいけないのだろうけど……まだ心の準備が出来てないもんな。

「決まりで良い？」

「うん、お邪魔させて貰うよ」

「うん！」

　※※※

　ハロウィン当日。俺はコンビニでクッキーやチョコ、スナック菓子を沢山買って、黒いリュックに詰めると、待ち合わせ場所の駅へと向かった──。

　楽しみだな～……星恵ちゃん、もしかして仮装してたりして！　──まぁ、それはないか。

　駅に着くと、俺に気付いた制服姿の星恵ちゃんが近づいてくる。

「お待たせ」

「うん、じゃあ行こうか」

　──俺達は電車に乗り、隣町で降りる。駅を出ると徒歩で星恵ちゃんの家へと向かった。15分程歩き、割と新しめの一軒家の前で星恵ちゃんは立ち止まる。

　ちゃんと庭があって、駐車場も広く……まさか星恵ちゃんの家、金持ちなんじゃ……と思わせるぐらい大きい二階建ての家だった。

「ここが私の家。どうぞ入って」

「あ──うん」

　星恵ちゃんに付いていき「──お邪魔します」と、玄関に入る。おぉ……二人で並んでいても狭くないぐらい広くて、良いなぁ。

　家なんて狭いから、小さい頃は姉ちゃんと喧嘩してたぐらいだもんな。それに──物が少なくて、凄いスッキリしてる。

「あ、あんまりジロジロ見ないでね？」

「え？　見られたって平気なぐらい綺麗じゃん！」

「そう？　なら良いけど……」と、星恵ちゃんは言いながら靴を脱ぎ、家の中へと入ると「さぁ、どうぞ」

　俺も靴を脱ぐと、「ありがとう」と返事をして、家の中に入った。星恵ちゃんの後ろを付いていき、廊下を歩ていく──。

　星恵ちゃんがドアを開けた先は、ダイニングへと繋がっていた。これまた広くて綺麗なダイニングだ。

　奥にはリビングが見え、壁掛けテレビに柔らかそうな白いソファ……オシャレなガラスのテーブルが置かれている。えっと……俺、ここに居て良いのかな？

「どうしたの？　中に入りなよ」と、星恵ちゃんが心配して、ダイニングのドアの前で立ち止まっている俺に、声を掛ける。

「あ、あぁ……」と俺が返事をしてダイニングに入ると、星恵ちゃんは「そこのソファに適当に座って待っていて。私、準備してくるから」と言ってダイニングから出ようとする。

「準備？」

「ハロウィンと言えば？」

「──仮装？」

「そう！」

「え？　だって仮装はしなくて良いんじゃ……」

「うん、光輝君はね！　私はしないとは言ってないよ」

「まじか……」

　俺がそう返事をすると、星恵ちゃんは眉を顰める。

「えっと……そういうの──嫌？」

「い、嫌な訳ないよ！　むしろ見てみたいと思ってたから嬉しい」

　星恵ちゃんはそれを聞いてパァァァ……と明るい笑顔を見せると「そう！　良かった。じゃあ、着替えてくる！」と元気よく返事をして、ダイニングを出て行った。

「えっと……」

　とりあえず言われた通り、座らせて貰うか。俺はリビングに向かい──リュックを床に下ろすと、ソファに座る。さて……何をするか？　部屋の中は静かすぎて妙に落ち着かない。

　それに──今にも後ろのドアが開いて、星恵ちゃんの親が入ってきそうで、気が気でない。

　こういう時は、テレビでも点けて紛らわしたい気分だが……彼氏とはいえ、勝手に人の家の物を触るのはダメだよな。

　となると……携帯で時間を潰すしかないか──星恵ちゃん、どんな格好してくるのかな？