怪物退治

彁山棗

0.血溜まりの中で

何故こうなったのだろう。

床に転がったまま、僕は思った。

眼の前の赤い染みがみるみるうちに広がっていく。自分の呼吸音と鼓動が、遥か遠くから聞こえてくるかのようだった。もう痛みは感じない。ただふわふわと夢見心地で、意識が揺らぐ。

何故、こうなったのだろう。

過去を反芻しようとするが、脳がそれを拒否するかのように思い出に霧がかかる。記憶という樹が林立しほとんど何も見えない中、手探りで彷徨った。


あれ。この幹は、この記憶は、何か特別な意味を持っていた気がする。

そう、始まりは…すべての始まりは、この日だったっけ?

僕の意識は現在を離れ、過去のある一日に旅立つ。

まるでもうすぐ終わる人生の答え合わせをするかのように。

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