実は超人気ラノベ作家で普段は隠キャ高校生の俺、罰ゲでクラス全員に告白させられたけど、学校一美少女のアイドル声優が俺の小説のファンらしく付き合うことになりました。
月ノみんと
第1話 普段は陰キャ高校生
どうして人はこうも他人を分類したがるのだろうか。
リア充だ非リアだの、陰キャだ陽キャだの……くだらない。
そんなことを教室の片隅で考えている、俺――
地元の高校にそのまま入学したはいいものの……。
入学早々、変な奴らに目をつけられてしまったらしい。
やれやれ……なるべく目立たずに平穏な学校生活を送りたかったんだがな。
「おい!
俺に馴れ馴れしく話かけてくるのは、
こいつはいわゆる陽キャ側の人間で……まあなにかとちょっかいをかけてくるのだ。
「どうせ俺が負けるんだろ……」
「はぁ……? そいつは言いがかりだぜ、なあ? みんな」
「「ギャッハッハ」」
昼メシじゃんけん――つまりはまあ、じゃんけんをして負けた奴が、みんなの昼メシを買いに行くという例のヤツだ。
正直くだらないと思いながらも、俺は波風を立てないように、毎回律儀に参加していた。
「じゃーいくぜ、じゃーんけーん!」
「「ぽん!」」
俺はグーを出す。
だが、他の奴らは全員パーを出していた。
いつもこうだ……。
つまりは出来レース。
以前俺がグー以外を出したら後で散々嫌がらせをされた。
面倒なことは避けたいから、それ以降俺はこの茶番にしぶしぶ付き合っている。
「また
「じゃーな、俺カレーパン」
「あーしフルーツサンド」
「さっさといけよ、ホラ」
と俺はいつものように昼メシを買いに行かされる羽目になる。
まあ、素直に従っておけば、表面上の平穏は約束されるので構わない。
そして幸いなことに、俺は
◇
「くそ……! 今日はいつにもまして購買が混んでいた……!」
俺はクラスメイトたちの昼飯を抱えながら、階段を急いで駆け上がる。
遅くなると何をされるかわかったものじゃない。
廊下も階段も、多くの生徒でごった返していた。
そんな中を急ぎ足で通り抜けたものだから、人とぶつかってしまう。
――ドン!
「あ、ごめん……!」
軽く当たっただけだが、相手は女生徒だ。
俺は申し訳なさから、自然と謝罪の言葉を発していた。
そして俺が何事もなく通り過ぎようとすると……。
「あの、落ちましたよ……? これ」
その女生徒は、俺に一つの菓子パンを差し出した。
どうやらぶつかった表紙に、レジ袋からこぼれ落ちてしまったらしい。
くそ、購買のおばさんめ。ぎちぎちに詰め過ぎだ。
「あ、ありがとう……」
パンを受け取るときに、女生徒と目が合ってしまう。
そこで、相手が
同じクラスメイトでありながら、俺とはまったく正反対の位置にいる女。
さすがは芸能人、こうしてまじまじと目が合うと、思わず見惚れてしまう。
普段はただのクラスメイトで、意識することなんかはなかったが……。
天然で青みがかった髪と瞳、そして異常なまでに磨き上げられた肌の質感。
体型も顔も、他の有象無象のクラスメイトとはまったくの別物。
同じ教室で息を吸うのも申し訳なくなるくらいの、天上の存在だ。
「「あ……」」
そんな彼女と、パンを持った手と手がぶつかってしまう。
俺としたことが、変な緊張をしてしまった。
「ご、ごめん……」
「いえ……あの、
「え、ああ……そうだけど……なに?」
これは驚いた。
あの
トップアイドル声優からすれば、クラスの陰キャ男子なぞゴキブリ程度にしか思われていないものかと思っていたが……。
どうやら彼女は中身までもが天使らしい。
――キーンコーンカーンコーン。
そのとき、俺の死を告げる合図が鳴った。
終わった……。
俺はミッションクリアならず。
クラスのDQNたちに時間内に餌を与えることができなかった。
って俺、何秒彼女に見とれていたんだ……?
「ご、ごめん
せめて走っていって、急いでいるフリだけでもしよう。
購買が混んでいなければ、こんなことにはならなかったというのに……。
そういえば、さっき
◇
「遅かったじゃねえか
クソ……面倒なことになった……。
そんなに文句があるなら自分たちで買いにいけという話だ。
まあ、俺はことを荒げるつもりはない。
大人しく陽キャどものお遊戯に付き合ってやるとするか。
――放課後になって、俺は
「これは罰ゲームだな……! はい
彼のとりまきたちが、一斉にはやし立てた。
「「罰ゲーム! 罰ゲーム!」」
はぁ……。
一体なにをさせられるのやら……。
まあいずれにせよ、俺はさっさと終わらせて家に帰るだけだ。
「じゃあ
「…………は?」
俺は
今……なんて言った、コイツ?
どうやったらそんな頭の悪い罰ゲーム、思いつく……!?
直後、その回答がグループのギャルからもたらされる。
「あーそういえば、
今も他人の机に脚を組んで座って、ストローでスムージーを飲んでいる。
赤っぽい茶髪をポニーテールに束ね、スカートを極限まで短くしている。
まあ
「……っるせえよ!」
はぁ……なるほど、そういうことか。
まあ、俺としてはそれで解放されるなら別にいいって感じだ。
そもそも他人にどう思われようがどうでもいいしな……。
「おい
はぁ……面倒なことになった、本当に。
「う……わかったよ……」
だが俺たちはまだ知らない。
この告白罰ゲームを断らないヤツがいることを……!
いや普通、クラスの喋ったこともない陰キャから告られたら、断るだろ?
そう、このときまでは俺も、
だが、俺の告白は……たった一度だけ成功することになるのだ――。
その相手とは
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