第8話「サマー・ライトニング」キャメル

 キャメルは1973年にデビューしたバンドで、私が最初に購入したアルバムは1976年発表の4作目のアルバム「ムーンマッドネス(Moonmadness)」でした。


 これは確か、レコード屋さんでアルバム・ジャケットを見て即買いだったと思います。いわゆる「ジャケ買い」というやつです。聴いたこともないのに買うのは、かなりの冒険でした。


 今は音楽を聴くのはダウンロードかサブスクが主流のようですから、ジャケット・アートなんてどうでもいいのかもしれませんが、当時は30センチ四方で見開きのジャケットというのは、相当豪華なアートでした。


 このアルバムでキャメルの曲を気に入った私は、その後も彼らのアルバムを買い続けます。


 1978年に発表された6作目のアルバム「ブレスレス」の中から、「サマー・ライトニング(Summer Lightning)」を彼らの最高傑作としてあげたいと思います。


 いきなりリチャード・シンクレアのヴォーカルから入るこの曲は、とてもダンサブルな曲で、歌詞も「夏の夜に浜辺で君と踊ろう」と歌っている青春の歌のようです。


 リチャード・シンクレアは、元々は「キャラヴァン」というバンドにいた人で、キャメルには途中から加入した人です。ベース・ギターを担当し、ギターのアンディ・ラティマーとともにヴォーカルも担当しましたが、この人の方が歌はうまいです。


 それにベース・プレイも見事です。前のアルバム「雨のシルエット(Rain Dances)」に収録された「心のさざ波(Unevev Song)」でのベース・プレイは、彼のベスト・パフォーマンスでしょう。


 プログレ・バンドって、少なくとも1970年代のバンドでは、ヴォーカル専任の人ってあんまりいないんですよね。イエスのジョン・アンダーソンも、一応タンバリンを叩いてたし(笑)。


 インスト・パートが多いから、ヴォーカル専任だとサボってるみたいに見えちゃうんでしょうね。


 話が横道にそれてしまいました。


 「サマー・ライトニング」はヴォーカル・パートの最後に、「哀しいサヨナラなんてないよ」と歌っているようですが、マイナーコード進行なので、明らかに嘘です。


 その後にいわゆる「泣きのギターソロ」が長く続き、フェイドアウトします。


 この曲は失恋した後に聴くと、ちょっとしんどいかも知れません。

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