第7話 卵焼きキャッチボール
「おいしい卵焼きの作り方」というインターネットで見つけたレシピを見ながら卵焼き作りに初挑戦している。
買ってきた玉子のパックを開けると、10個の玉子たちは飛び出し、宙を舞ってフォーメーションを組んだ。
「卵焼きを作りたいのでパックに戻ってほしい」と玉子たちに訴えた。
「キャッチボールだ」と玉子。
1個の玉子が助走をつけ、私めがけてボールのように突進してきた。突然のことにどうしたらよいか分からず、ひとまず両手で顔を守る私。
突進してきた玉子は私の両手に衝突し、殻は割れて砕け、中身が地面に落ちる。
「どうしてこんなことするの?」
「俺たちの命をいただきたいのならキャッチしてみろ、それすら出来ないお前に食われるくらいなら砕けて散る」
2個目の玉子も同じように突進してきたが、彼のスピードが遅いのか、私の目が慣れてきたのか分からないけれど、私は玉子をキャッチすることができた。
「1個目の玉子と同じように死なせてくれ!」と2個目の玉子。私は彼の殻を割り、中身をボールに移す。
3個目、4個目の玉子も無事にキャッチ。玉子たちは悲鳴をあげながら私に割られてボールの中に消えていく。
それからも玉子の突進は続いたが、玉子たちの勢いに慣れた私は10個目の玉子まで無事にキャッチしてボールに入れることに成功。
9個の玉子が殻を失い、ボールの中で悲鳴をあげている。私は彼らを菜箸で突き、盛大に混ぜてやった。私の大勝利、1個目の玉子は落ちてしまい、床に消えない染みができてしまったけど、他の玉子たちはキャッチできた。おいしい卵焼きのレシピ通り美味しい卵焼きを作ることが出来た。彼にも振る舞って美味しいって言ってもらえた。
そんな夢を見た翌日、妊娠検査の結果は望まない陽性だった。
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