シャッターは、笑う。ご馳走を前に

@mohoumono

第1話 シャッターは、笑う。ご馳走を前に

悲鳴とシャッター音が交錯する中

ホームにある電子掲示板は、

遅れることを謝罪する。

勇気があるならと誰かは言った。

そんな、握手さえ知らない憐憫は、

人が死ぬに値するものだ。

そして、

無知な人間ほど逃げろといいたがる。

ただ、逃げた先は、

今まさにシャッターの餌食になっている。

また、糸が絡まる。息がしにくくなる。

歩く速度が日に日に落ちていく。

紐が緩まる余裕がないからだ。

遊べるなら大丈夫だ。

まだ歩けるなら大丈夫だ。

寝られるなら大丈夫だ。

泣けるなら大丈夫だ。

生きていれば大丈夫だ。

彼らはそう言った。

僕は、笑った。彼らも笑った。

どうやら福が来たらしい

糸が絡まった。首が締まった。

逃れようともがいた。糸が切れた。

シャッターは、笑った、

ご馳走を前に。

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