第16話 夜のアイス

キースにミルクアイスが出され、熱い紅茶と共に楽しむ。

「ラム酒の香りがいいね?」


アイスと紅茶に入れたらしい。甘いものは好きで酒もイケるのは、貴族の嗜みか。それにしては、甘い物をすごく量を食べる。体型が変わらないのが不思議なくらい。


カナンと目が合ったキースが言う。

「美味しいよ?」

「そりゃあ、良かった。」

他にも言いたい事があるだろうが、欲しいのは酒の方だろう。カナンには、ミルクだけでは物足りない。


「ホラ、冷えたエール。」

「ヤリィ!いただきまーす。」


風呂上がりの酒は格別らしい。セリはアイスに夢中だが、ハーブ水を出して水分補給させた。

「他の味も作れるの?」


キースは気に入ったようだ。

「ああ。酒で作ると、セリが食えないな。」


ロードの悩みはすぐ解決する。

「果物と混ぜて作ってみたら?凍らせるだけでも美味しいケド、混ぜ合わせるのも美味しいワヨ」


シュルトから聞く果物に、セリが目を輝かせる。

全部作るとロードは決めたが、食べて良い量を決めないとセリが体調を崩すと言い含められた。


「んー、調子良さそうだね?」

「ソウね、ダルいとかある?」


セリは体調不良を忘れたように、キョトリとした反応をしている。


「くしゃみも出てないし、元気だね〜。」


エールを飲んでご機嫌なカナンが、セリの髪を撫でる。

まだ濡れている髪は、ロードによって後でしっかり乾かされる。今はホカホカなセリを膝の上で堪能中だ。


もちろんカナンの手をシッシと排除したのも、気にしないで続ける。


「風呂で、はしゃいでたし特に気にならなかったけどお。」

「ま、氣が大きく違う土地から来たんだから、慣れれば何もないかもね?」


風の精霊の流れ、火の氣が運ばれるこの地。セリが居た氷の氣が多い場所とは全然違う。


食べ終わったキースから、セリの部屋に出た黒いコの話になった。

「猫だね?」


精霊獣と関係が深いと言われている種類、貴族の家に居ればステイタス。


「愛玩動物として、魔獣を飼う事もあるけど許可がいるよなあ。」

「部屋へ勝手に入ってくるんじゃ、どうするのが良いのカシラ?」


妖精避けを置くか、話し合いをする保護者2人。セリが尋ねた。


「ネコって多いの?」

「契約精霊は犬や猫は有名どころ。鳥が多くて、メッセンジャーな役目が多いかな?」


キースが答えた通り。姿を見せる事が少なく、ある程度まとまって過ごしているらしい。その場所も精霊や妖精が行き来する、『妖精の道』が近くにあるんだとか。


「おはなしにも載っているワヨ、今度その本を持ってくるワ。」


セリ向けに、庶民の知識を得る機会をとシュルトは気遣う。悪い妖精を避ける飾りを置く事になった。軽く今後の予定を埋めて話をしていたが、セリがうとうとしたところで、御開きになった。


キースは馬車で、静かに帰っていった。

「次は泊まるから?」


そう言い残して。

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