第37話 銭湯へGO!

「バーベキューはこれで終了です。これからブースCを3時間貸し切りしてますので自由に寛いで下さい。これ以降は自由解散です。よろしくお願いします!」


そう、実行委員が皆に声を掛けると、ガヤガヤと皆が移動を始めた。僕は箕輪君と話しながらも、キヨくんの姿を探した。これから温泉に入って、休憩所のブースCでゆっくり出来る。ここの休憩場所は漫画やゲームコーナー、フリードリンクコーナーの周囲にいくつかまとまったブースが配置してあって、若者に人気なんだ。



「橘、温泉先行くだろう?」


箕輪君たちに言われて、僕は少し多べ過ぎたけれど、行こうと温泉の階へ移動した。後ろの方で三浦君たちが盛り上がっているから、きっとそこにキヨくんも居るんだろう。


僕は何となくキヨくんの側で裸になるのは恥ずかしかったから、さっさと入っちゃおうと急いだ。


「橘随分張り切ってるな。サウナとか入りたかったのか?」



僕はサウナは一度中学生の頃に入って、熱くて飛び出した記憶がある。あまり得意じゃないと答えると、クラスメイトが最近流行ってるんだぞと入り方を教えてくれると言う。


僕はもう高3だから昔とは違うかもしれないと、皆でサウナも入ることになった。脱衣所の手前のカウンターで貴重品をそれぞれ預けたりして、僕たちは意気揚々と脱衣所に入った。土曜日のせいか、案外人が多くて僕たちはバラバラに別れて脱いで行った。



僕の隣は背の高い若い男の人で、僕が隣のロッカーを使い出すとギョッとした様に二度見してきた。僕は華奢なのでたまにそんな事がある。僕はわざと勢いよくトップスを脱いでさっさと上半身裸になって、見せつけて安心させてやった。


僕が男だと分かったと思うのに、なんとなくその人は僕の方をチラチラ見る。僕はズボンに手をかけながら、何となく早く立ち去ってくれないかと躊躇してしまった。



箕輪君たちが温泉へ向かうのを見て、僕は慌ててサッと脱いでカウンターで渡されたタオルを腰に巻き付けた。ロッカーに鍵を掛けながら、チラッと隣の人を見ると、その人は堂々と下着を脱ぐところだった。これでは僕の方が痴漢みたいだ。


慌てて立ち去ろうとした僕の目に、その人のブツが見えてしまった。うわ、えげつない。大人ってあんな感じなのかな…。ていうか少しアレだった?思わずその人の顔を見上げたら、その人は僕を見てニヤリと笑った。



僕は何となく早く立ち去った方がいい気がして、わざと箕輪君に呼び掛けながら入り口へと向かった。丁度その時にキヨくんたちがドヤドヤと入ってきて、僕が思わずホッとしたのはあの人のせいだよね?

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