カントン
羽生著弦
第一章 派遣社員
第1話 午前中の派遣社員くん
月曜日
am5:35
pppppppppp...
スマホのアラームが鳴る。
「あぁ...眠い...」
週始めの気だるい朝。
「会社いきたくない...」
ダルいダルいダルいと三回唱えればお腹が痛くなる魔法を使える俺は30歳過ぎて童貞だったらナンチャラとかいう話の通りの大魔法使いなのか?
俺の名前は
35歳独身。
身長175cmで細身?極細?
スマートってことで...
趣味はカードゲーム全般かな。
アイドルプロデュースもしてる。
俺のプロフィールはこんなもんで後々細かい説明必要な時はまた紹介するよ。
am7:00
会社近くのいつものコンビニでお気に入りのスマホゲームを確認して一息。
今日は昼ご飯用にパンを買って会社に向かう。
am7:40
タイムカードをきって出勤。
最近俺の会社でもアルコールチェックを朝するようになった。
「酒飲まないっちゅーの」
上司にやるよう説明を受けた時に
「アルコール飲まないやつはアルコールチェッカーで反応でたら口臭キツいってことだからなぁ」だってさぁ、クソ面白くない冗談死ぬほど嫌いだわぁって言えるわけもなく今日もアルコールチェッカーで反応がないことを願う小心者の俺なのであります。
am7:50
仕事は製造。某乳製品の下請け。
俺の部所は出来上がったヨーグルトを包装するといった仕事内容。
その工程のなかで与えられた俺の仕事はオペレーターといって包装機械の操作やトラブル解消といったところだ。
このところ製造が増え残業の毎日をおくっている。半年前に入った二十歳の新人美輪は仕事を全くおぼえないし、残業になると体調不良を理由にすぐ帰ってしまう。
俺も教育係を上司に任命され1ヶ月ほど教えたが話にならないくらい物覚えが悪い!
SNSでついつい愚痴を書いてしまうこともあった。
社会人としての自覚の足りなさとコミュニケーションを全くとれないといった典型的な社会不適合者だ。
しかし今日上司であるリーダーの宿口に言われた。
「コボと美輪はそっくりだな、同じ人種っぽいからわかりあえて、仕事も急にできるようになるんじゃね?」
!!!!!!!!!
似てる?イヤイヤイヤイヤイヤありえない!
どこが?見た目?あんな目細くねーし!
コミュニケーション俺はとれるけどとらないだけだし!関わりたくないだけ!
仕事も全然できるし!はぁ?似てるとかわけわかんねぇし!どんだけ会社に貢献してると思ってんの?あと二分待ってタイムカードきれば時給もらえるのにあえて待たずに帰ったり、朝も俺が一番早く職場にくるし!
あのアホ上司には俺の努力が全然理解できねぇの?40歳過ぎて独身とか酒飲んでギャンブルしすぎて頭わいてんじゃね?
ストレス半端ない!こんな時はアイドルプロデュースに課金ぶっこんで、そんでそんで今週予約のカードもボックス追加するしかない。
小阪は散財することによりストレスを解消するといった行動によく移す。我が身可愛さに自身を失い、決して自分の負の部分は認めず謝罪なんて言葉は小阪の辞書にはなかった。
過大評価はしないものの自分は底辺の人間であることは絶対に認めたくないのだ。
美輪にもそういう部分は見受けられるが美輪はまだ若いぶんの成長がある。その分小阪より少しだけましなのかもしれない。
だか少しナルシストな部分があり説教された日は鏡を眺める時間は増えるようだ。
am11:40
「おーいコボ!昼休憩入ってくれ」
「はい、わかりました」
やっと昼休憩が回ってきた、製造終わるまで製造ラインが止まらないので順番に休憩をとる仕組みだ。
「えっとまずはカードの予約の変更っと」
約2ヶ月に一度のペースで新作が出るカードゲームのカードを大人買いで十万ほど購入する小阪。車検は分割でもカード購入はニコニコ現金一括払い。今回はストレス発散もあり2倍のボックスを追加注文。
「あっ発売日有給とらないと...」
ちょうど昼休憩が一緒になった上司の宿口が現れたので、
「あの今週の金曜日有給でやすみたいのですが?」
「はぁ?今週?シフト組んだ後で調整聞かないだろ、用事あるなら早めに言えよ」
「い..いや急に用事か入って...」
「美輪に出てもらうからいいや、美輪がその日予定あったら諦めろよ」
「は..はい」
美輪なんかどうせ予定ないっつーの
俺はカード倍買ってんだ!休み以外の選択肢はないっつーの!もしもの時は仮病使うしかないな。
この時の小阪は自分が間違ってカードを20倍予約してしまったことを知るよしもなかった。
このあたりから少しずつ歯車が狂いだしたのは言うまでもない。
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