5.話別れた理由 浮気の傷跡

 カップルとして仲がいいと思っていた。


 でも仲がいいわけではなくて、彼は私に飽きていた。

 家に帰ると女の歯ブラシ、落ちている長い髪の毛、自分ものではない髪留めゴム。


 別れ話をしたら、「仕方なかったんだ。遊びだった」と言ってきた。

 許せなかった。

 ばれなければ続けるつもりだった彼も、彼の交友関係も信用できない。

 消せない傷にのたうち回って苦しんで解毒できたとおもっていた。

 ふとした時に戻ってきてはまだまだ苦しめるんだ。


 許せ?

 いつまでいい子でいなくちゃいけないの?

 無理なものはムリ。努力したって癒やせりゃしない。

 許せというのがお門違いではないのか?

 爪が食い込む。悔しくて。


 女はすべて許容していいよと言わなくてはならないのか?

 良妻でも、聖母でもない。


 浮気されたものの傷は永遠に残るのだ。

 まだ傷跡は鈍痛を伴う。

 END

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