2-3.「語の定義」

2-3-1.語義

📖この節では、次の項目について説明する。

  【

  【どう姿】⛏

   🖈同音異義語

   🖈同形異音語

   🖈同形同音異義語

   🖈方言で生じた同形同音異義語

   🖈なまりで生じた同形同音異義語

   🖈クラブとトランプの意味



      †



📕【

 〈語がどの言葉を指すかという基本的な定義〉の意。

 []と書いてほぼ同義。


 言葉の説明付けという観点では[ねん]とったほうが適切であるようにも感じられるが、一般には「語の念」と言っても通用しづらいと思われる。

 また語の主観という観点に立てば「語の意」という解釈でも問題ではなく、またこの考え方のほうが語義の尊重をうながしやすいかもしれない。

 なお意と念の違いについては、章〖4-1.意の概要〗で説明する。



      †



📕【どう

 〈同等の語義を持つ語群〉の意。

 〝楽聖:ベートーヴェン〟〝無責任に言う:放言する〟などがこれ。

 [え]と書いて同義。


 ところで「がくせい」とか、あと「こうてい」とかって一般名詞なんだけど、特定個人しか指さない一般名詞ってヤヴァくね?



📕【どう姿】⛏

 〈発音や表記が一致するのに同等の語義を持たない語同士の関係〉の意。

 大別して3つの類型が考えられる。


   📍同音異義語


 〈発音を同じとするが語義が異なる、正直カンベンしてほしい語群〉を「どうおん」と呼ぶ。

 〝く:く:く〟〝おもおもおもおもおもおも〟などがこれ。


 例に挙げたものが丁度それであるが、〝漢字で書けば別々の語になるが、読みだけは同じ〟ということばは、「やまとことば」的に同源である可能性が高い。

 ただし、だからと言って同じ意味であるわけではない。

 一方で、表意文字たる漢字を使用する場合においては、〝発音も表記も同一なのに意味だけ異なる〟という事態は「」。

 これが、同音異義語のあまりに多い日本語の表記に、だけでなく漢字も用いる大きな動機である。


   📍同形異音語


 〈表記を同じとするが発音によって語義が異なる、大変面倒な語群〉を「どうけいおん」と呼ぶ。

 〝だいにん〈人気が高い〉:大人おとな〈幼稚である〉〟〝ぼね〈心の支え〉:こつ〈ゆるぎない根性〉:こちこころもと〉〟〝windウィンド〈風〉:windワインド〈曲がりくねる〉〟などがこれ。

 なんなんだ、このバリエーション?

 さあほとばしれ、若きたましい‼(???


   📍同形同音異義語


 〈表記も発音もいっしょなのに語義が異なる、けん上等な語群〉を「どうけいどうおん」と呼ぶ。

 〝violaヴィオラ(〈すみれ〉:〈さつげん楽器〉)〟〝clubクラブ(〈こんぼう〉:〈かつどうしゅうかい〉)〟などがこれ。


 なお〈同形異音語と同形同音異義語の総称〉として「どうてつ」と呼ぶ場合もあるが、これは外来の用語であるので忘れていても構わない。

 そもそも日本語の書かれ方を「つづり」と呼ぶのは一般的でないだろう。


   📍方言で生じた同形同音異義語


 「violaヴィオラ」の語源は、それぞれ別。

 前者は意味が転じたもの。

 後者は方言として、おんいん変化したものである。


  • violaヴィオラ〈小さな(ラテン語)〉→〈小さな花〉→〈すみれ〉┄┄(violetヴァイオレット〈紫〉)


  • fiddleフィドルさつげん楽器(英語)〉→violeフィオル(古プロヴァンス語)→violeヴィオール(フランス語)→violaヴィオラ(イタリア語)┄┄(violinヴァイオリン〈小さなviolaヴィオラ〉)


 ……アルファベット圏の方言ゆるさない(

 つか「f」と「v」が可換って意味不明なのよなあ、「fiveファイヴfifthフィフス」とか。


   📍なまりで生じた同形同音異義語


 また「clubクラブ」はもともと〈こんぼう〉のみの意であり、〈こんぼうのような形の草〉を「cloverクローバー」と呼ぶもの。

 そして〈かつどうしゅうかい〉のほうは、〈執着する〉〈団結する〉の意の「cleaveクリーヴ」がなまったものとされる。


 ……おいこら(

 もうちょっとかぶらないように崩せなかったんかい。


   📍クラブとトランプの意味


 なお余談だが、トランプのスート(suitスート:ひとそろいの紋)はすべて、統治の手段になるものを示す。

 個人的には、この4種がそろって統治はやっと完成するのではないか、と想像する。


  • ♤:spadeスペード〈剣(イタリア語)〉→威

  • ♡:heartハート〈心〉→愛

  • ♢:diamondダイヤモンド〈ダイヤ〉:→財

  • ♧:clubクラブこん〉→法


 こんは、ものを忌避する宗教団が、好んで選ぶ武器とされる。

 つまり「♧」とは、直接の武具ではなく〈宗教〉ないし〈法〉を意味するものであり、要するに「cloverクローバー」ではない。

 今も多くの法廷ほうていなどで、こんの一種であるきづちがシンボルとされている。


 ほか、トランプにおける「jokerジョーカー〈冗談を言う人〉」が最強のワイルドカードとして扱われるのは、かつての「jesterジェスターきゅうてい道化師〉」に由来するもの。

 これは道化であるゆえに、〝何を言っても冗談扱いとなって発言とは認められない代わりに、どれだけ耳に痛いことを言ってもとがめられない〟という役割。

 本当に必要なことを遠慮なしに言わせることで、国政の議論を正常化させる、という最重要とも言える機能を果たした。

 よって高いぶんせき力をもつ人材でなければ務まらないが、しかし現代日本の議会にも道化師ジョーカーが必要なんじゃないか?(


 なお「trumpトランプ」は〈勝利への導き〉の意であり、これは「triumphトライアンフ〈勝利〉」を語源とするもの。

 これが〈切り札〉という意味に転じたのは、カードゲームとしての「trumpトランプ gameゲーム〈勝利へと導くゲーム〉」の普及によるものと思われる。

 また「trumpトランプ」の派生として、〈勝利へ導く小道具〉が「trumpetトランペット」であり、戦場での合図に多用されたらっがそのように呼ばれたものである。

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