字の読み

 この節では、次の項目について説明する。

  • 【み】

  • 【おんみ】

  • 【くんみ】

  • 【おく】⦅名詞⦆

  • 【もく

  • 【じゅうばこみ】

  • 【かんおくり】

  • 【じゅくくん



      †



み】

 〈発音方法〉の意。

 [かた]と書いて同義。


 についてはそれぞれ発音がすでに決まっているため、[読み]ではなく「おん」と呼ぶ。



      †



おんみ】

 〈原音の発音に近い漢字の読み〉の意。

 〝〟〝ホウ〟〝チャク〟〝セキ〟〝〟〝〟などがこれ。


 まず[おん]と呼ぶのは、漢語的には日本語での同様に、漢字それぞれで固有の発音が決まっているから。

 [読み]がその後ろにくのは、漢語での「おん」も日本語では「読み方のひとつ」に過ぎないからである。

 ところで、〝株〟や〝皿〟とかって音読みちゃんと有るやつなんだけど、こいつら音読みできます?(いぢわる



      †



くんみ】

 〈⦅「やまとことば」を主とした⦆日本独自の語に意味相当する漢字を当てた表記における漢字部分の読み〉の意。

 〝「ある」く〟〝「」きる〟〝「」る〟〝「あか」い〟〝「うつく」しい〟〝「わたくし」〟などがこれ。



      †



おく】⦅名詞⦆

 〈訓読みをする語において読みに当たらない部分の音を示す〉の意。

 〝ある「く」〟〝「きる」〟〝「る」〟〝あか「い」〟〝うつく「しい」〟〝わたくし「」〟などがこれ。


 要するにで書く部分であり、文法的には次のような本則が存在する。


  • 基本的には語尾をそのまま送りとする

    〝ある「く」〟〝「きる」〟〝あか「い」〟〝わたくし「」〟など


  • 一段動詞は語幹なしの場合のみ、先頭一音を送りに含めない

    〝「る」〟など


  • 形容詞は語幹末尾が{し}である場合のみ、その{し}を送りに含める

    〝うつく「しい」〟など


 形容詞の{し}を送りとするのは、「〜しい」が「〜い」に書き換え可能であるため。

 つまり漢字が表意文字であるゆえに、語幹にあたる漢字へ〔如〕の意を含める事ができないためである。



      †



もく

 〈表記されてはいるがまったく発音しない字〉の意。

 〝やまと〟〝だて〟〝もん〟〝high〟〝wine〟などがこれ。


 「見栄えの良さ」や「語の誇張」、あるいは「意味の補足」のために、発音しない文字が附記されたものではあるが、、

 ……わけがわからないよ(



      †



じゅうばこみ】

 〈熟語において音読みと訓読みが混在すること〉の意。

 〝ジュウばこ〟〝かぶケン〟などがこれ。


 なお[トウみ]と書いて同義だが、こちらは語頭が訓読みである熟語を特に指すもの。

 一方[ジュウばこみ]は、語頭が音読みである熟語を特に指す。

 と、いう事には一応なっているものの、区別したところで得れるもん何もねえから正直どうでもええわ、「とう」なんてことばよう遣わんし[じゅうばこみ]一本でええんちゃうの(

 ふつうに読んだら{おけ}だよねこれ。


 ところで、〝熟語の読みが音訓混在するのは不自然〟とする「」が、根強く存在しつづけている。

 しかし、文法的にはそんなルールは無く、べつに混じったところで不都合も無く、そして実際に重箱読みの熟語は多数存在する。

 よって、「気にしないでよい」でファイナルアンサー(

 この宗教が発生した理由はおそらく、漢語から直接輸入された熟語は必然的に音読み、また「やまとことば」を基にした熟語は漢語が混じらないゆえ必然的に訓読み、という所から来ているとは思われる。

 だからと言って、それをもって〝新語もすべからくこれにならうべき〟とするルール付けが、成立する理由は無い。



      †



かんおくり】⛏

 〈漢字をより読み下しやすくするために本来は読みである部分の末尾を送りへ送り出すこと〉の意。

 〝って:おこなって→おこなって〟〝みとめる:したためる→したためる〟〝すなわち:なわち〟〝おんなじ:んなじ〟などがこれ。


 一般的に使われている手法なのに、これを指す名称が見当たらなかったんだけど何でだろ。

 例のような、送りがかぶっているのに別の読みをする同一漢字の語は、区別のために語幹送りがすいしょうされるべきと考える。

 ほか個人的には、副詞全般については被修飾語とからめた漢字密度を下げるために、先頭一音以外をすべて語幹送りしたほうが見やすいように感じられる。

 なお、常用漢字表では「み」が定義されているわけではないので、それが常用漢字表に載っている語であるかぎりは、語幹送りをしたとしても、特にルビ振りする必要は生じないと思われる。



      †



じゅくくん

 〈熟語版の訓読み〉〈漢字の読みを無視して同義になりうる別の読みを当てた単語〉の意。

 〝はっとり(「部」はもく)←はたおりはたり担当の人〉〟〝煙草たばこtabacoタバーコ〈煙を吸って楽しむこう品を指すポルトガル語〉〟などがこれ。


 既存の語とその発音の組み合わせでは表現できないを、その音を崩さないまま表現するもの。

 よく「」と混同されるが、そちらは「」のかんかつである一方、こちらは「み」のかんかつであり、強いて言えば発音に対して意を当てる「」である。


 なおここに、〝熟字訓は勝手に作ってよく、単漢字に対する訓読みもまた然り〟と主張する。

 勝手に作ったとしても、客観的にとうでないと判断される新語は、そもそも人に受け入れられない事が予想され、結果としてすぐとうされる事が期待できる。

 とうされないならばそれは、必要とされている物を作った事になる。

 そして「とらがひとをかもうとするときのうなりごえ」などはともかく、「さけ(字義は〈フグ〉)」「しば(字義は〈キノコ〉)」のような例がみられる通り、そもそも訓読み自体、かなりチャランポランに成り立ったもの。

 さらには、漢字に対する訓読みの割り当て作業の終了宣言も、まだ明示されていない。


 〝この漢字はこう読ませるのがとう〟、〝この言葉はこの漢字に割り当てるのがとう〟。

 そう感じたなら、是非そうするべきである。

 歴史上の物書きは皆、そうしてきた。

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