人は自然界という楽園から追放された

らんた

人は自然界という楽園から追放された

自然には死への恐怖が無い 生まれて死んでいく


永遠の生のループ


樹上で生活する猿もそうだった


そんな猿にある内なる声が聞こえた


――もっといい生活をしないか


――この楽園の真理を見つけないか?


その声に反応した猿が居た 誘惑の声に乗ってしまった


猿は禁断の知恵を身に着ける事となった


それはすなわち自然界という楽園からの追放を意味していた


追放された楽園を追うようにして現れた猿が居た


メスの猿だった


共に歩みたい


どんな苦難があっても共に歩みたい


それが罪の道だとしても


オスの猿は泣いて あまりのうれしさに泣いて抱き着いた


こうして自然界という楽園から去った猿はやがて二足歩行となった


楽園から追放された猿はすぐに死滅するかと思われた


しかし火を自在に操るすべを手に入れた猿は自然界に属さなくても 生きて行けるようになった


それが罪なる存在 人類の誕生の瞬間である 人類は原罪を背負うこととなった


罪を背負った人類は罰として 死への恐怖を背負い さらに労苦を背負うことになった


エデンとは自然界の事


楽園の真理とはすなわち自然界の真理 それは後に科学と呼ばれる

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