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結局

僕は、女の子の長髪が好きだった。

僕の彼女は、男の子の短髪が好きだった。

都合がいいからお互いに交換っこすることにした。ちょうど良くなった。

ヴィランな2人だった。異端者だからこそ僕らは惹かれあったのかもしれない。

彼女は、遠い遠い場所に住んでいた。

僕らが会うにはあまりにも互いに若すぎる。

それでもいつか会えると思っていた。

絶対に会えると思って、それまで耐え忍んで過ごそうと思っていた。

彼女は自分ほど強くなかった。

鬼畜どもが彼女を責め続けた。

彼女は自分を0と名乗った。何もないって。何もしたくないって。ここに来るんじゃなかったって。

そんなことないって弱い声でしか僕は言えなかった。本当にそうだろうか。僕らにここにいる意味なんてあるんだろうか。

彼女はもっと遠い場所にいってしまった。

電車に乗っかって、

遠い、

遠い、

そんな場所にいってしまった。

あまりにも遠過ぎた。もう、会えないだろう。

でもさ、

君なら帰ってくるんじゃないかなって思った。未だに君がどこか近い場所にいそうで泣けない。そんな明るい君だった。

君なら、そう君なら。


そう思って2年の月日が経ったよ。

君はまだ帰ってこない。

君はもう帰ってこない。

そう思いたくない。

嫌だよ。怒らないよ。帰ってきてよ。

もう、待ってるのも疲れたよ。

ふふ。少し笑みがでたな。

いっそのこと君を探しに行こうかな。

驚くかな。

悲しむかな。

怒るかな。

少し、喜んでくれるかな。

ねぇ、私達はヴィランだよ。

何もない私達が、ここにいる理由なんて何一つないでしょ。

もう、いいよね。

もうすぐ電車が来る。踏切の音、君は好きだと言っていたね。


君に、今会いに行くよ。

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