第10話「理愛ちゃんの病気」

そのまま何ヶ月も過ぎました

香和ちゃんは、理愛ちゃんに会えず、交換日記も何もできないまま、夏休みが明けました


先生が黒板の前で言います

「みなさん、ずっと学校を休んでいた理愛さんですが、

少し体調がよくなったので、今日から、学校に来ます」


「ええーー?!」

香和ちゃんは思わず叫びました


「でも、みなさんが、気をつけてあげないといけないことがあります」


先生は、黒板に字を書きます

「理愛さんは、"化学物質過敏症"とお医者さんに診断されました」


「・・かがく・・ぶっしつ・・かびんしょう・・??」

「化学物質過敏症は、ほんのちょっとでも、化学物質を吸ったり触ったり食べたりすると、具合が悪くなってしまう病気です」


「先生、化学物質って何ですかー?」

「化学物質はいろいろな種類がありますが、今、理愛さんが一番困っているのは、みんながお洋服に使っている化学物質です」

「服・・?」

「みなさんは、おうちでお洗濯のお手伝いをしたことがありますか?」

「ありまーす!」

「洗濯機には、何を入れますか?」

「魔女の薬です!魔女の薬を入れると、ふわふわでいい匂いになるんです!じゅーなんざい、とも言います!」

「そうです。みんなが着ている服は、いい匂いの香りが付いていますね。そのいい匂いは、工場で作られている"化学物質"です。みんなが着ている服には、それがたくさん付いていて、空気中に少しずつ広がっています。それを吸い込んだり、目に入ったりしても、ちょっとだけならみなさんは平気ですが、理愛さんは、頭が痛くなったり、気持ちが悪くなったりして、すごく具合が悪くなってしまうそうです」


「え・・?」

香和ちゃんは、先生の言っていることが、よくわかりません

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