第5話「小鳥のタオル」

翌朝、香和ちゃんは、理愛ちゃんの顔を見るなり、言いました

「昨日、魔女の薬をお母さんにいつもよりいっぱい入れてもらったの!そしたら、理愛ちゃんが言ってたお花みたいな匂い、私もわかるようになったよ!ほら、いい匂いでしょ!」

「ほんとだ!さっきね、遠くにいても、香和ちゃんの匂いがして、香和ちゃんがいるってわかった!」

「あはは!それって、隠れんぼですぐ見つかっちゃうじゃん!」


香和ちゃんは、小さなタオルを出しました

「理愛ちゃん、これあげる!」

「え?」

「お母さんにね、『理愛ちゃん家は魔女の薬買ってもらえないんだって』って言ったら、お母さんが『うちで洗ったタオルをあげれば、理愛ちゃんもいつでもいい匂いがかげるでしょ』って!

それで、お母さんとこのタオル買いに行ったの!

かわいいでしょ?!」

「わぁ・・」


理愛ちゃんがタオルを手に取ると、ふわふわで、いい匂いがしました・・香和ちゃんと同じ、お花の匂い・・


タオルには、黄色い小鳥の絵がありました

「かわいい・・ありがとう!」


理愛ちゃんはその日から、小鳥のタオルと一緒に過ごすようになりました

学校に行く時も、習い事に行く時も、ポケットに入れて・・

寝る時も、枕のそばに置いて・・


いつでもお花のいい匂い

いつでも香和ちゃんと一緒にいるみたい・・

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