第35話
「さて、とりあえず侵入したはいいものの」
「うおおおお!俺はやるぜ!俺はやるぜ!あだっ」
「馬鹿……」
鏡に激突した要に頭を抱える。
巨大人型の内部に侵入した三人だが、その中はマジックハウスのようになっていた。
いくつものだまし絵、全面鏡の部屋、開かないドア、無意味な階段、無数の迷路。要はそれらに突撃しては壁に穴をあけている。
「おい、この馬鹿娘の知能はどうにかならないのか」
「どうにもなりません」
柚希はお手上げだと首を横に振った。
「つ、通信はいったよ」
充がインカムを差し出す。
『聞こえていますか?ミルキー、ブラック、椎名要』
「アスカだ!」
要が駆け寄ろうとしてまた鏡に激突する。そろそろすべて割れ激突する鏡もなくなりそうだ。
『ファントムと巨大人型のコアになっているイドの位置が割り出されました』
「よし、私たちはそれを叩けばいいんだな」
「えー?どう進めばいいんだ?」
『大まかな位置は割り出してあります。皆さんの真下なのでそれを元にどうにか』
「どうにかって」
「わ、わかった」
充がステッキを地面に突き立てる。白い砲撃が放たれた。下方へとぽっかりと開いた穴。
「み、道が開けたよ」
「充、お前けっこうそういうとこあるよな」
「え?」
したたかでいいと思うぞ、と柚希は肩を叩いた。
「よーし!行くぞ!」
「油断するな小娘」
突撃しようとする要。
しかし充が開けた道からわらわらと人形たちがはいでてくる。
「ひぃっ」
お化け屋敷にあった人形たちだ。ホラー映画もさながらの光景に後ずさりする。
襲い掛かろうとする人形たちを、銃撃が一掃した。
振り向く。
壁に空いた穴。そこから見える景色の、さらにはるかかなたから向けられた銃口に、充は動く人形を見るよりも嫌そうな顔をする。
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