彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
YAYOI99
第1話 カオス上等!ヤンキー1年生の日々(1)
ジメジメとした梅雨も、終ろうとしていた。
「聞いたか~龍星軍の捕り物!?」
「聞いた、聞いた!凛道さん、龍星軍の正式デビューしたんだって!」
「すっげーよな、総長様!?さすがだぜ!」
「・・・。」
着席しようとして、一瞬ためらわれる。
耳に届いたヤンキー男子の会話。
いつもならスルーして、ラジオの音として聞き流すけど、そうはいかない
(『私』の話をしてる・・・・)
皆さま、はじめまして。
私の名前は菅原凛(すがわら りん)。
どこにでもいる普通の女の子、15歳の高校1年生。
ただいま、自分の教室に登校したばかりです。
「あの伝説の最強最高の暴走族、『龍星軍』が、旗揚げデビューしたんだってな!?」
「予告なしで、登場とか、ひでーよなぁ~!?リアル凛道蓮さん見たかったー!」
「俺も俺も!知ってたら、絶対見に行ったのになぁ~凛道さーん!」
聞こえてきたのは、今街で噂のイケイケ暴走族『龍星軍』総長・『凛道蓮(りんどうれん)』のことなんですが・・・・
(それ・・・・・・私が男装してる時の名前と身分なんだよねー・・・)
菅原凛(すがわら りん)改め、凛道蓮(りんどう れん)15歳。
あ、本名は『菅原凛』であってます。
菅原凛として、学校では真面目な女の子で通してますが、わけあって、内緒で暴走族の総長をすることになりました。
それも『凛道蓮』という偽名を使い、男の子として男装してです。
何故、目立たない真面目生徒の私が、内緒で暴走族総長をしてるかというと、深ぁ~~~~~いわけがあります!
きっかけは、そう・・・私が好きになった方が、ヤンキー様だったからでーす♪
私が、秘密の総長になったきっかけは、初恋で恩人の真田瑞希(さなだみずき)さんと一緒にいたかったからです!
両親の不仲と、毎日の習い事生活が嫌になって家出したのが9歳の時。
一人ぼっちで泣いてる私を助けて下さったのが、当時、最強暴走族として有名だった『龍星軍』の総長の真田瑞希さんでした。
優しくて、かっこよくて、お姉さんみたいにきれいな彼に一目惚れ!!
ヤンキーゆえに、お礼はもちろん、連絡先のわからない彼を探し続けて数年・・・!
再会するまでのことは割愛しますが、彼に気に入られた私は、私の意志もあり、瑞希お兄ちゃんのチーム・龍星軍を引き継いだのです。
それも、4代目総長として。
自由に彼に会えるようになったのは良いけど・・・
1つ嘘をつくと、その嘘をつくために、また嘘をついていかなければいけないと言いますが・・・その通りですよ、みなさん。
私は、瑞希お兄ちゃんが私のことを『坊主=男の子』と覚えていたので、成り行きもあって、名前と性別を偽ることになったのです。
その後、『嫌な両親と一緒に生活保護を受けてるのでバイトもできない未成年者』という設定で、瑞希お兄ちゃんから携帯電話を頂きます。
電話の使用料は、瑞希お兄ちゃんのお店のお手伝いで免除されました。
瑞希お兄ちゃんが作った暴走族チーム、龍星軍の4代目としてバイクの練習もして、武器として改造トンファーまで頂き、なんとか総長をデビューを果たしたのです。
もらったバイクとチームの旗を持って1人暴走族をしたのですが、最後は『黒子ファイブ』に変身した瑞希お兄ちゃんや親切なおっちゃんによって円満に初集会を追えました。
苦労も多かったですが・・・・
(良いこともあった!!)
カバンから出した教科書を机の中にしまいながら思う。
私に起きた良いこと。
(それは、瑞希お兄ちゃんとのラブイベント!)
抱きしめられたり、頭ナデナデされたり、守ってもらったり♪
可愛いとか、好きとか、大好きとか言われたけど♪
(酔っ払った瑞希お兄ちゃんからのほっぺにちゅーもよかったけど~)
神様、私、大人の階段上っちゃったよー!!
(そうなんです!酔っていたとはいえ――――――――――瑞希お兄ちゃんとAしちゃった♪♪♪!!!)
愛のABCですよ!
つまりキス!
口づけ!接吻!ちゅーちゅーちゅー♪
口と口でキスしたの!
何回も・・・チューしちゃったぁー♪
(ファーストキスもセカンドキスも、ささげちゃったぁ~)
瑞希お兄ちゃん、覚えてないみたいだけど、チューしちゃったんだよね!
してもらったのよ!
これって、明るい未来もありだよね!?
(今は、弟のような存在だけど、頑張って総長をこなして~チャンスが来たら告白する!!カミングアウトも含めてよッ!)
〔★告白を受ける方は大変だ★〕
「凛ちゃん、おはよう。」
「今日も暑いね~」
「あう!?お、おはよう・・・マキちゃん、夏美ちゃん。」
ハートの妄想をしていたら、クラスの友達が私のところへ来た。
めがねをかけてるのが、マキちゃん。
肩まで髪を切りそろえてるのが、夏美ちゃん。
「凛ちゃん、今日の宿題、問3、わかったー?」
「うーん・・・自信ないな~数式は~」
気持ちを切り替えながら、大人しい女の子モードで対応したのだが。
「うっそ!?凛道蓮って、真田瑞希の実の弟!?」
(ちげーよ。)
聞えてきた会話で、再びフリーズ。
「そうだよね~凛ちゃん!私、数式がわからなくて・・・ネットで調べちゃった。」
「私、塾で聞いちゃったよ。ぶっちゃけ、そっちの方がわかりやすくて~凛ちゃんは、どうしたの?」
「うっ?あ、ああ・・・教科書を何度も読み返して~」
話しかけられてるけど、今の私は、それどころじゃなかった。
斜め前で固まって話している、男子達の会話が気になった。
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