第13話
それからまた時は流れて…
2018年2月22日のことであった。
前日の正午で、3月の公立高校の受験に必要な願書の受付すべてがしめきられた。
奈美子は、高校受験を受けることができなくなった。
…いえ、高校進学そのものができなくなった。
まゆみは、奈美子に同級生たちと同じコースへ行ってほしいと願っていた。
しかし、奈美子が受験に必要な願書を出していなかったと聞いたので、ひどくおたついた。
この日を境に、家族は迷走した。
それと比例するように、かずひこのパワハラがこの最近ひどくなった。
かずひこが派遣社員の女性をやめさせたことが原因で、この1ヶ月の間に4~5人の従業員さんが突然会社をやめた。
職場は、極度の人手不足におちいった。
居場所をなくしたかずひこは、勝手に会社を休んだ。
そのあげくに、パチンコ店など…ギャンブル関連の施設ヘ出入りするようになった。
この日の朝のことであった。
背広姿のかずひこは、ぶあいそうな表情で『うちの職場の従業員たちは自由と権利ばかりを主張してばかりいるので、あたまに来る!!』とブツブツ言いながら家を出た。
近所の奥さま方が、声をひそめてひそひそと話していた。
その頃であった。
部屋の中では、奈美子とまゆみが何やらもめていたようだ。
制服姿の奈美子は、朝ごはんを食べずに家から出ようとした。
まゆみは、朝ごはんを食べずに家から出ようとした奈美子を止めた。
『朝ごはんを食べてよ…』
『イヤ!!拒否するわ!!』
奈美子とまゆみは、ひどい大ゲンカを繰り広げた。
「奈美子ちゃん、奈美子ちゃん待ってよ!!」
「やかましいわね!!なんでアタシを止めるのよ!?」
「どうしてって、奈美子ちゃんが朝ごはんを食べずに家を出ようとしたから止めたのよ。」
「なんでいらんことするのよ!?」
「どうしたいって、奈美子ちゃんに朝ごはんを食べてほしいから止めたのよ。」
「やかましいわね!!あんたが作った朝ごはんなんか食べる気がしないわよ!!」
奈美子は、ますます怒った声でまゆみに凄んだ。
まゆみは、奈美子に対して泣きそうな声でコンガンした。
「奈美子ちゃん、白いごはん一杯だけでも食べてよぉ…白いごはんの上に卵のきみをおとしてあげるから…おつゆが冷めていたのだったらもう一度暖め直してあげるわよ…おかーさんが学校に電話しておくから…朝ごはんだけでも食べて行ってよぉ。」
まゆみは、奈美子説得したあと食卓に座らせた。
その後、冷めてしまったおつゆがたくさん入っているなべをコンロにかけて暖め直した。
まゆみは、白いごはんの上に卵のきみをおとしたあと味の素(化学調味料)をかけた。
その後、まゆみは奈美子に卵かけご飯を差し出しながらあつかましい声で言うた。
「奈美子ちゃん、朝ごはんを食べてから学校ヘ行きなさい!!」
この時、奈美子は恐ろしい目付きでまゆみをにらみつけていた。
奈美子は、おはしを床下へ投げすてた。
まゆみは、奈美子に対してあつかましい声で言うた。
「奈美子ちゃん!!朝ごはんを食べてから学校ヘ行きなさい!!白いごはんに卵のきみをおとしておいたから、卵かけご飯だけでも食べなさいて!!おつゆはコトコト煮込んで暖め直しているからゆっくりとかんで食べなさい!!」
まゆみが言うた言葉にブチ切れた奈美子は、みそ汁がたくさん入っているおなべを手に取った後、ベランダから投げ捨てた。
みそ汁がたくさん入っていたおなべは、近くにある公園のに砂場に
砂場の砂は、大量にこぼれたみそ汁でグチョグチョになった。
暖め直していたみそ汁を奈美子に
「奈美子ちゃん!!なんてことをするのよ!!せっかく作ったみそ汁をどうして
「やかましい!!アタシに
「おかーさんは奈美子ちゃんに高校受験がんばってほしいから朝ごはんを食べてと言うてるのよ!!来月は公立高校の受験があるのでしょ!!」
「やかましいわね!!」
「奈美子ちゃん!!」
「あんたはアタシにどうしてほしいのよ!!」
「同級生のこたちと同じコースを歩んでほしいのよ!!同級生たちと同じ高校に行って、楽しい時間を過ごしてほしいから言うてるのよ!!」
(ガラガラガラガラガシャーン!!)
まゆみが言うた言葉にブチ切れた奈美子は、テーブルを思い切りひっくり返した。
「奈美子ちゃん!!」
奈美子はワーッと叫びながらキッチンへかけ込んだ。
そして、チタンコーティングの出刃包丁を手にしたあとまゆみをイカクした。
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…な、奈美子ちゃん…」
まゆみは、奈美子に対して必死に命乞いをした。
奈美子は、真っ赤な目でまゆみをにらみつけながら全身をブルブルと震わせていた。
奈美子は、ものすごい血相でまゆみをにらみつけながら震える声で言うた。
「ふざけるな!!今さっきアタシになんて言うた!!」
「奈美子ちゃんやめて…お願い…」
「なにが同級生たちと同じコースを歩んでほしいよ…なにが同級生たちと同じ高校へ行って楽しい時間を過ごしてほしいよ!!」
「奈美子ちゃんは、楽しい時間はいらないの…中学卒業で働きに出たら楽しい時間は…ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…」
出刃包丁でまゆみにイカクをしていた奈美子は、アホらしくなったので出刃包丁をふりおろした。
その後、ぺしゃんこになっているカバンを持って家から出ていった。
まゆみは、ぺしゃんこのカバンを持って家から出ていった奈美子を探しに外へ出た。
この時、まゆみは近所の奥さまに呼び止められた。
近所の奥さまは、まゆみに対してややあつかましい声で言うた。
「ちょっと奥さま。」
「ああ、おとなりの奥さま。」
「奥さま、奈美子ちゃんがベランダからみそ汁が入っているおなべを投げ
「すみませんでした。」
近所の奥さまから怒鳴られたまゆみは、もうしわけない表情で近所の奥さまに言うた。
このあと、近所の奥さまはまゆみにいちゃもんをつけた。
「奥さま、あんたのダンナは本当に小さなことからコツコツコツコツと積み上げてきた人かしら?」
「奥さま、それはどういうわけでしょうか!?うちの主人にいちゃもんをつけるなんてあんまりだわ!!」
「やかましいわね!!あんたのダンナのパワハラのせいで、ひとひとりの命が奪われたのよ!!」
「それはどうことなのですか!?」
「あんたのダンナのパワハラが原因でお向かいの
お向かいの
近所の奥さまからことの次第を聞いたまゆみは、顔が真っ青になった。
「エーーーーッ!!そ、ソノカワさん方の息子さんがオワハラを苦に首を吊って自殺したって!!」
「そうよ。」
「主人が面接官をしていた就職試験が原因…」
「そうよ。」
「それ、本当ですか!?」
「あんた、今ごろになって気がついたの?」
まゆみは、近所の奥さまに対してみぐるしいいいわけを言うた。
「あ、あの~。」
「なによ!?」
「もしかしたら、何かの間違いだと思うけど…」
近所の奥さまは、ものすごくあつかましい声でまゆみに言うた。
「あんたね、どんなにいいわけを取り繕ってもダメよ!!」
「奥さま、うちの主人にいちゃもんをつけないでよ!!」
「やかましいわね!!」
「奥さま!!うちの主人は小さなことからコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツと積み上げて、まじめに生きてきたのよ!!」
「あんたのダンナがコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツと積み上げてきたなんて大ウソよ!!」
近所の奥さまは、よりするどい言葉でまゆみを攻撃した。
「あんたのダンナは、15年前に元カノをレイプした…元カノの心と
「奥さま!!いいかげんにしてください!!」
「やかましいわね!!パワハラ魔とオワハラ魔とレイプ魔の女房!!あんたのダンナのオワハラが原因で自殺したソノカワさんの息子さんのカタキを討つから覚悟しておきなさいよ!!」
「やってみなさいよ!!うちのダンナにいちゃもんをつけたから、アタシも知人のヤクザの顧問弁護士に頼んで団地一帯の住民を訴えるから覚悟しなさい!!」
近所の奥さまとひどい大ゲンカを起こたまゆみは、ドカーンとブチ切れた。
近所の奥さまも、まゆみから言われた言葉に対してドカーンとブチ切れた。
朝10時過ぎのことであった。
まゆみは、百間町にあるかずひこが勤務していた職場ヘ行った。
まゆみは、かずひこの上の人に対してパワハラ問題をわびた上で、会社をやめることを申し出た。
場所は、職場の応接間にて…
まゆみは、上の人に対してかずひこの退職願を申し出た。
「ごめいわくをおかけしてもうしわけございませんでした。主人のパワハラは、妻である私に全部原因があります…そのことを含めて、職場をやめる手続きを取らせてください。」
まゆみからの申し出に対して、かずひこの上の人は煮え切らない表情で『やめられたら困る』と言うた。
「奥さま、奥さまのおっしゃることはよくわかりますが…」
かずひこの上の人は、ものすごく弱りきった表情で言うた。
まゆみは、ものすごくイラついた声でかずひこの上の人に言うた。
「はっきりとものを言いなさいよ!!」
「言いますよぉ。」
「あなたたちは、ダンナのパワハラが原因で何人の従業員さんたちがやめたのか…ご存知ですか!?」
「えっ?ちょっ、ちょっと待ってください…」
まゆみからことの次第を聞いたかずひこの上の人は、顔が真っ青になった。
まゆみは、ものすごい血相で『逃げるな!!』と怒った。
かずひこの上の人は、ますます困った表情でまゆみに言うた。
「奥さま、私たちは逃げようとはしていまへん。」
「逃げようとしているじゃないのよ!!」
「逃げてまへん…」
「ウソばーーーーっかり!!」
「ウソじゃありまへん。」
「それじゃあ、どこへ行こうとしていたのよ!?」
「どこって、確認に行くのです。」
「なんで確認するのよ!?」
「せやから、従業員さんたちに聞きに行くのですよぉ〜」
「いらないことをしないでよ!!」
「奥さま。」
「あんたたちは、パワハラ魔のダンナをいつまで会社に置いておくのよ!?」
「奥さま、この通りです…」
「やかましいわね!!うちのダンナがここをやめたら困る理由がなんなのよ!!」
かずひこの上の人は、ものすごく困った表情でまゆみに言うた。
「奥さま、うちの会社はほかにいい人材がいないので人手不足におちいってるのです…若い働き手がいないので困ってるのです。」
「要は、会社は人手不足におちいっているから困ると言いのね!!」
「奥さまの言うことはよくわかります…ですが、かずひこさんはうちで必要な戦力だから、やめられたら困るのです…」
かずひこの上の人が言うた言葉にブチ切れたまゆみは、かずひこのデスクに行った。
まゆみは、デスクのなかにあるかずひこの物を全部ごみ袋ヘすてた。
かずひこの上の人は、まゆみに対して『やめてくれ…』と言うた。
しかし、従業員さんたちは冷ややかな目かずひこの上の人をにらみつけた。
その後、まゆみはかずひこの上の人のデスクの上に置かれていた金庫の中から現金を全部抜き取った。
そして、かずひこの上の人の股ぐらをヒールで思い切りけとばした。
そしてまた、かずひこの上の人の財布を強奪した。
その後、怒った表情で会社から出た。
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