【最恐ホラー】憐の難破船（あいのなんぱせん）

第１話

（ギューン!!ドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスン!!ギャー!!)

時は、７月26日の夜９時過ぎのことであった。

事件は、神戸空港沖の大阪湾で発生した。

関西国際空港から神戸空港へ向かっていた高速船が、正規の侵入ルートを逸（そ）れた後、港の入江に設置されている誘導灯（ゆうどうとう）に激突した。

激突した影響で、船体が大きく破損した。

高速船に乗っている乗客15人前後が負傷した。

乗客のみなさまは、神戸市内にある救急病院に搬送された。

うち、一人が意識不明の重体におちいった。

当初は、正規の侵入ルートを逸（そ）れたことが原因で発生した事故であったとニュースで報じられた。

しかし、それから数分後に20歳の機関士の男が『上司からパワハラを受けたことが原因でムシャクシャしていたので、高速船に乗っている乗客全員を道連れにして死ぬつもりだった…』とケーサツに自供した。

兵庫県警は、事故ではなく殺人未遂事件に切り替えて捜査を開始した。

問題の機関士の男は、殺人未遂の現行犯で兵庫県警に逮捕された。

それからすぐに、意識不明の重体になっていた乗客が亡くなったので殺人罪で再逮捕された。

機関士の男は、他にも危険ドラッグを服用していた疑いや暴力団対策法（ボータイホウ）にテイショクする容疑などで再逮捕の件数が増えるようだ。

殺人罪で再逮捕された機関士の男に強烈なパワハラを加えていたのは、船長の上西陽介（42歳）であった。

陽介は、船舶会社の上の人間から事件に関する国の調査が終わるまでの間は自宅キンシン命ぜられた。

陽介は、妻子（かぞく）がいる高松市十川西町（たかまつそがわにしまち）にある家に一時的に帰省をした。

陽介は、高松に帰った後は家でキンシンをしていた。

しかし、事件発生から数日後に家族間で深刻なゴタゴタが発生した。

それが原因で、妻子（かぞく）と仲良く暮らして行けなくなった。

陽介の家族は、妻のりつよ（38歳・パート主婦）と子供４人の６人家族である。

しかし、家族は深刻な事情を抱えていた。

その原因は、長男のしゅうすけ（17歳）がせっかく入学した（三流以下の）私立高校（コーコー）に行かないことに陽介が腹を立てていたことであった。

しゅうすけは、１学期はプリント学習をしてどうにか終えることができた。

学校に行けない間は、フジグランの近くにあるマクドでバイトをしていた。

その一方で、学校側はしゅうすけに対してそろそろフクガクをダシンしていた。

陽介の頭の中は、一刻でもはやくしゅうすけをコーコーヘ行ってほしいことしかなかった…

だから、気持ちがイライラとしていた。

１学期は終えることができたから、２学期からは元気な顔をして行け…

２学期は楽しい行事がたくさんあるんだぞ…

(キンリンの家の息子さん）は、中学卒業した後は働きに出ているので、毎日のように『高校へゆきたい高校へゆきたい』と泣いてばかりいるのだぞ…

陽介自身は、高校へ行きたいの高校へ行けなかったことがあった…

だから、しゅうすけには高校へ行って楽しい時間を過ごしてほしい…

陽介は、しゅうすけに対して『コーコー行け…』と命令口調で繰り返し言うた。

陽介がしゅうすけに対して命令口調で言うたことが原因で父子間で深刻な対立をまねいた。

そうしたことが原因で、家族は恐ろしい事件が巻き込まれて行くのであった。

９月１日のことであった。

しゅうすけは、陽介の言いなりで高校（コーコー）ヘ再び行くことになった。

りつよは、親子のコミュニケーションを大事にするために学校の行き帰りは車で送り迎えをすることにした。

これでしゅうすけが高校（コーコー）へ行くことができた…

陽介とりつよは、めでたしめでたしと言うてあんどした。

しかし、これが油断のもとであった。

ここより、恐ろしい悲劇の幕が上がった。