我が糖質 ~合言葉は「オール・ヘイル・カロリー!」異世界で鬼教官になったので、体育会系スキルを駆使して物申します!~
すきま讚魚
プロローグ
プロローグ・残酷なエンゼルのフレンチ
「貴様らに問う! 我が国家の真の勝利とは何と心得る!?」
思えば学生生活の華々しいデビュー時代、こんな鉄の指揮台だか朝礼台だかに乗って延々とラジオ体操第一をやらされていた。おかげで声の張りと、寸分も
国家の勝利、それは戦争の圧倒的勝利。
敵国家の降伏。
敵対思想の掃討及び絶滅。
国の指針たるこの自由主義的かつ国家主義的な思想の更なる昇華と、全ての人民にこのイデオロギーを反映させていくこと。
全ての人民からみて、本国の方針が最も理想的であるとの理解支援支持を得ること。
——否。
はっきり言わせていただこう、そんなモノは建前でしかないのだ。
そもそも相反するはずの国家主義と自由主義を並べて謳うなぞ、ナンセンスの極みであるとも思えるが、何とこの世界にはそんなありえないはずの定義が堂々と面を下げて存在している。
「この無糖どもめ! 血圧ではなく血糖値を上げてモノを考えろ!」
再び太い喉から罵声が飛んだ。
腹式呼吸に発声、集合の号令は所謂前世という場所でもお手の物ではあったが、こうもオクターブが段違いに低く出ると迫力が違う。
新兵の中には顔面が凍りついてビビり散らかしている者もいるが、馬鹿野郎、自分の現役時代はこんな罵声なぞ生温いほどの超絶理不尽体育会系だ。この程度で音を上げるのであれば、早々に実家に引き下がってエンゼルフレンチでも貪っていただきたい。絶対そっちの方が幸せだから。
「……我が国家の勝利、つまり我々の真の勝利とは!!」
いやぁこんな台詞、声高々に叫び散らかせるようになったとは何と良い時代だ。そもそも世界が違うんだけどな。
「
イエッサー!!!
「声が小さい! 復唱100回!」
いやぁビビるね。そりゃビビるよ。
いっぺん死んでる身としては、もう捨てるモンなんざ何もねぇと思ってね。各コーチや先生、諸先輩方の真似をして生きてきてみたのさ。
そしたらこれがまた大当たり。
あれ? 異世界転生ってもっと可憐に美人に生まれて、オワコンな状況から前世の知識と圧倒的な取得スキルを駆使して幸せになっていくんじゃないんだっけ?
「カロリー ィズ!」 『デリシャス!!!』
「カロリー ィズ!」 『ジャスティス!!!』
「声が小さい! 腹から出せ! 喉を開ききれ!!」
「「「ALL HAIL CALORIE!!!!!!」」」
「「「ALL HAIL CALBO!!!!!!」」」
平々凡々な社畜かつ、ド三流体育大学を卒業してプロの格闘技選手を経験していた私は——なぜか今、減量の必要ない異世界で『カロリーこそ至上、美味しいは正義、炭水化物万歳』主義国家の軍に所属し、日々新兵どもを鍛えているのである。
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