21 綿貫の独り言
今日も冴えない、ダサい仕事をしての帰り道。ワタヌキのお坊ちゃんが前を歩いていた。
おふくろさんをなくしたとか聞いたが、分家のやつらもあいつには絶対服従らしいし、持ってるやつは持ってるんだなと思いながら、綺麗な髪や長い足をみながらなんとなく後ろを歩いて行った。
すると白い・・・・あれってうわさに聞く召喚人?ひらべったいんだ。これで人じゃないのか。知らなかったな。宇宙人とは違うんだ。
これって一緒に行けるって思って人に飛び込んだ。
「ワタヌキ・ダイスケ様ですか?」っておっさんが聞いたので返事しといた。間違いないしな。
そしたら神子様だか、勇者様だかとか贅沢をさせてくれた。
神殿に名前があるって言うんで見学に行ったら、ワタヌキの坊ちゃんも来ていたが、俺は神子様なので特別コースで案内された。
そしたらあったよ俺の名前が、やっぱすごいな誕生日入りだった。
四月朔日・大輔 さすが、異世界だ。
俺は四月一日生まれで馬鹿ってあだ名をつけられてバカにされていたんだ。
バカはたしかにバカだが、誕生日まで馬鹿なんだとか・・・・そしたら校長先生が四月一日って日は四月朔日とも書いて、意味とかも教えてくれたけど、全部は覚えてなくて・・・・始まりとかなんだかとか言っていたがすごくいい意味だし、四月朔日の日はすごく頭をつかって賢く人を騙す、お茶目な日だから自慢して良いって言ってくれたんだ。それで俺はこの漢字を覚えていたんだ。
そしたらこの板にそれが書いてあってさすが校長先生は違うなって思っていたのに、アレンが怪我した。俺のせいだ。
いくらバカでも知り合いが怪我したら落ち込むよな。部屋でしょんぼりすごしていたら、坊ちゃんがやってきた。
どっかに行ったと聞いていたが帰ってきたんだな。そしたら神殿の板をみたかと聞くので威勢良く誕生日付きだし難しい朔日が使われていて感心したと話したら、一瞬キョトンとしたが、誕生日なのかとやはり感心してくれた。意外といいやつじゃないか。そして自分の名前を書けというから、綿貫・大輔と書いたら自分はこうだと四月朔日・大輔と書いた。ダイスケは同じ漢字で四月朔日でワタヌキと読むと教えてくれた。
よくわからない俺をみて、何回か説明してくれてやっとわかった。俺は神子でも勇者でもなかったんだ。
そしたらあいつはいいやつで、俺の魔法は攻撃力がありそうだから冒険者に向いてると教えてくれた。
この国で瘴気の浄化をやり終わったら隣国に戻るから一緒に行こうと誘ってくれて、浄化の時魔獣を倒してくれると助かるから浄化の時も来てくれると助かると頼んで来たので、俺も行ってやることにした。
瘴気って言うのは黒いネバネバで気持ち悪いし、近くにあるとずんと空気が重くて気分が悪くなる。俺と神子さんの二人はこうなるのだが、他のやつらは鈍くて平気な顔をしている。そんな瘴気に近づいていくあいつはさすが四月朔日の坊ちゃんだ。
向こうの世界でも四月朔日はいっぱしというか顔だったからな。
そしてさすが神子さん、アレンとかレオとか王族に世話をさせている。あちらの顔はこちらでも顔なんだな。同じ地元で鼻が高い。
それにしても俺、こいつより強いと思って最初の頃、やらかしてるけどバレてるかな。坊ちゃんだから気にしないでくれるといいが・・・・いい女でもいたら回すようにしよう・・・
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