16 奴隷解放?
リルは空が白くなり始めるころ気がついた。
奴隷達は焚き火を囲みのんびり座っていた。ライヤは足を縛られて転がっていた。
リルは起き上がると奴隷を見回した。
「うんとおはよう、知ってると思うけどライヤの手伝いのものだ。飲むもの?っとそうだな。お茶はあるか?・・・湯をくれるか?喉が渇いた」
「朝のスープを作ってもらえるか?あっ手枷の鍵をライヤが・・」
「持ってなかった?」そばの奴隷の枷に手を当ててしばらくするとパチリを鍵が外れた。
「逃げても自由になれないから逃げないでね」といいながら全員の枷を外すと
切り落とした自分の腕から抜き取っておいた腕輪を調べた。
「皆集まって」その声にあたりを片付けたり、小枝を拾ったりしていた奴隷達が集まってきた。
順に腕輪を外してもらった者たちは、「「「「ありがとうございます」」」」と口々にお礼を言った。土下座のような格好で頭を地面にこすりつけるものもいた。
「気持ちは充分伝わっているから、大丈夫だよ」
「そこでこれからのことだけど君たちは僕と一緒に隣の国に行ってもらいたい。できるだけ保護してもらえるように手配するつもりだが、どこまでできるかわからない」
「「「「「「一緒にいきます」」」」」」と言うのを聞いて計画を聞かせた。
「御者ができる人いる?」
国境の検問と行っても平時はひとりひとり荷物を検査することなどない。
ただ、今は並んだ者の顔をじっくり見ている者がいる。じっくり見やすいようにゆっくりと列を進めている・・・・・おこづかいをもらった以上検査官は便宜をはかっているのだ。
大商人の馬車でさえ今回は荷物の間に誰かを隠していないかじっくり調べられているる。
だが、それには例外がある。奴隷を乗せた馬車だ。そんなものをじっくりみたい者はいない。ほんとは戸を開けなくてもいいくらいだ。
「奴隷だ。十一人いる」
「戸を開けるぞ」
「あ?」
馬車の戸を開けると臭気があたりに漂った。
「十一人・・・」いる。と兵は戸を閉めた。
「行っていいぞ」
御者は無言で馬車を前に出した。
馬車は皆のように町の門へ向かわずに街道を次の町へと向かった。やがて街道から小道を少し行った所で馬車を止めた。
御者は急いで馬車の戸を開けると、ライヤを引きずりだして御者席に座らせた。
御者をしていた男は奴隷に混じって座った。リルは戸口の正面に座ると結んでいた髪をといた。
馬車の戸は広く開け放されている。
馬車が近づいて来た。戸口に影がさした。
「降りろ」
命令に従いリルは馬車を降りた。足枷の鎖の音が響いた。
「明るいところでみるとより綺麗だ」
リルは相手の人数を確認した。
「なんだ?」「これは?」どうした?おれも」などと部下が騒いだ時三人の足が地面に埋まっていた。残り五人と元締めに順に小石を当てて行く。
倒れた五人の足を順に埋めて行く。元締めも埋めた。自分の足枷を外した。
隠れた者がいないか確認してから、馬車に声をかけた。
「降りていいよ」
「剣を回収できる?」と聞いたら全員がたじろいだ。
それならと護衛の手を埋めた。すると奴隷たちは恐る恐る剣を回収した。
剣を回収してから考えた。奴隷を助けるってどういうことなんだろう。
この国の政府に任せればいいよね。もう、奴隷の腕輪はないんだし・・・・
食い詰めて逃げてきたってことで、そう、難民、移民だよ。
結論を出したリルは全員を馬車に戻した。
「この戸を中から開けられる?」
しばらく、どんどん音がしていたが、無理なようだった。
「後で開けるからね」
そういうと回収した剣でひとりずつ始末した。剣は途中で取り替えて、右手を使ったり左手を使ったり、この世界の検死技術をなめて崖の上で白状するはめになりたくないリルは気をつけた。
ライヤも皆に混ぜて置いた。ライヤの足首につけた腕輪は迷ったけど残して置いた。
戸を半分ほど壊してから中に声をかけた。
「よし、夜まで待って国境の役人に助けを求めて。夜まででたらダメだよ」
「「「「「「「フールさんは?」」」」」」」
問いかけに答えずその場を離れた。
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