02 引き取られた先は

部屋に入ると、一人の男が出迎えた。


「早かったですね、こちらは?」


「しばらくここで働いてもらう」


「かしこまりました。ジョーと申します」


「よろしくジョー・・様。イズミと申します」


「おまえたちは同僚だ。イズミ、ジョーと呼べばいい」


「はい、イズミよろしくです。ジョーと呼んでください」


「それでは、ジョー。城を出て自活できるまで、いろいろ教えて下さい」


「城を出る?・・・・はい、お願いします」


「そうだ、俺はアレンバルト・キルメニー。アレンと呼んでくれ。騎士団の総括副団長だ。この部屋にはもう一人ミシエロード・ポルトマンと言うのが働いている。戻ってきたら紹介する。ジョー済まないがイズミの部屋の手配を頼む、俺の部屋の近くに・・・・一筆書くから侍従長に見せてくれ」


「はい、かしこまりました」


「アレン、総括副団長ってことは騎士団はいくつあるの?」


「六団だ」


「アレン、さっきの王子様と似ていたけど親戚?」


「弟だ。母親が違うがな」


「なるほど・・・王子様ってこと?」


「血筋はそうなるが・・・・俺は・・・自活している」


「そうなんだ」


「これを」アレンはジョーにこれを手紙を渡した。ジョーは黙って受け取ると一礼して出て行った。


「副団長ともなると書類が一杯ありそうだね」と机を見ながらイズミが言っていると


「おや、戻ってましたか?」と男がはいって来た・・・イズミを見て眉を上げると


「ここで面倒をみることになった」とアレンが説明した。


「そうですか」


「初めましてイズミと申します」


「わたしはミシエロード・ポルトマンです」


「よろしくお願いします。ポルトマン様」


「ロードと呼んでください。イズミと呼んでいいですか?」


「はい、よろしくロード」



「今、ジョーが部屋の手配に行っている、わたしの部屋の近くに決めた」


「・・近くに・・・そうですか。イズミはここで手伝いを?」


「そのつもりだが、イズミこの計算を確認してくれ」


ちらっと見て


「これ間違ってますね・・・・なんでこんな間違いが・・・・」


書類を見ながらイズミが呆れた顔をしているのが、おもしろかった。


ジョーが戻ってきたのでイズミを部屋に連れていくように指示した。


「今日はこのまま部屋で過ごせ、部屋のまえにいるのは護衛だ。気にしないでいい。必要な物は護衛に言えば手配できる」アレンの言葉にイズミはうなづくとジョーと部屋を出て行った。


二人がでて行くとアレンは先ほどの出来事を説明した。


「見た感じ頭の回転は早そうですね。城を出るというのは・・・・あのような子供が外で暮らせるのでしょうか?」


「そうだな、そのうちに考えも変わるだろう」



◇◇◇

王子目線


召喚の魔法陣の光が消えたとき、床に座る人影があった。二人来たというのはすぐにわかったし、神殿長が名前の確認をして神子だとわかった。

だが、僕は床に座り込んだもう一人が気になって仕方なかった。黒い髪が輝いていた。彼は黙って冷静にあたりを観察していた。瞳は黒曜石のような黒さだった。

彼はわたしに会うために呼ばれたのだと思った。


その彼が帰りたいというのを聞いて頭に血がのぼった。なぜ帰るのか、わたしがすべてを与えるのに・・・・・気がついたら彼はわたしが投げつけたお金を拾ってわたしの手にのせていた。


完全に嫌われた。軽蔑された。そしてこともあろうに異母兄あにが彼を連れて行ってしまった。

全てを持っているくせに彼までも連れて行った。


ドアが閉まり彼が見えなくなった。

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