第59話 クエスト
まず、SランクからSSランクへ昇進するためには、Sランククエストを10個クリアする必要があるらしい。
その上で、昇進クエストに合格しないといけないのだそうだ。
「なんだこれは……こんなんでいいのか……?」
俺はクエストボードに目を通して、目を丸くして驚いた。
そこに貼られているクエストは、どれもあまりにも簡単すぎたからだ。
「キラーグリズリー15体の討伐……朝飯前だ……」
実際、俺はいつも朝飯前にそれをやっていた。
大魔境では、キラーグリズリーなんてそこらじゅうにいて、襲ってくる。
たしかに外の世界ではこれがSランククエストなのかもしれないが、俺にとってはなんてことのないものだった。
他にも……。
「真珠茸20個の納品か……これも余裕だな」
真珠茸は説明によれば、採取難易度S級のレアアイテムらしい。
だがこんなもの、大魔境にはそこらへんに生えてるぞ?
正直Sランクのクエストのどれもが俺にとっては楽勝だった。
大魔境に行って帰ってくれば、簡単にクリアできるものばかりだ。
「よし……! さっそく片付けていくか!」
俺とカンナはあっという間にクエストを終えていった。
そしてすぐにSSSランクのハンターライセンスを手に入れた!
◆◆◆
俺たちがハンターライセンスを手に入れたことで、渡航準備が整った。
暗黒大陸へ行くのは、俺、カンナ、サテナを含む研究団の計15人。
メインの目的は研究団による暗黒大陸研究を進めることだ。そういう名目で、予算と許可が降りた。
俺とカンナは書類上、護衛の冒険者としてついていくことになっている。
だがあくまで俺の目的はアイリを探し出すことだ。
向こうについたら、俺はアイリを探しにいくぜ。サテナたちにも、そういうことで話はついてある。
こんな面倒な手続きをしなくても、まあ俺なら勝手に行くこともできなくはなさそうだが……。一応、学院や国に迷惑をかけるのはさけたいからな。
それに、サテナの研究の力にもなるらしいから、一緒にいくことにしたのだ。
暗黒大陸へ向けて、船が出航する。
船は巨大な鯨の見た目をしていて、中にはたくさんの研究資材がつめこまれていた。
そこから2週間ほど、なにもない海を行く。
地図にのっている海域を超え、どんどん海の果てをめざす。
すると、暗黒大陸らしきものが見えてきた。
「これが……暗黒大陸か……!」
そこは、なにもかもがデカかった。
まず、樹や植物が俺たちの世界の何倍もの大きさだ。
ってことは……生き物もか……!?
俺たちは上陸の準備を進めた。
すると、さっそく敵が現れた。
――ギュルル!!!!
荷下ろしをしている研究員に、巨大なコウモリ型のモンスターが襲い掛かってくる。
「どりゃああああああ! 戦いじゃあああ!」
――ズドーン!!!!
コウモリモンスターを一撃で吹っ飛ばしたのは、魔王カンナだった。
カンナはずっと船の中に押し込められていて、もう暴れたくてしかたがないという感じだった。
「でっけぇコウモリだな……」
「ああ、じゃが、それほど大した強さでもないぞ?」
どうやら俺とカンナであれば、暗黒大陸でも通用しそうだった。
そのまま、荷下ろしを終わらせ、安全なところにキャンプを作る。
キャンプの周りには、俺が創造スキルでつくった自動魔法タレットを置いてある。
さらには創造スキルでゴーレムを数体つくりだし、巡回させてある。
これで、俺がいないときでもなんとか大丈夫だ。
ここからは、研究チームはこのキャンプに残って研究を進めることになっている。
研究員たちが外へ出るときは、必ずゴーレムを一体つけることで、安全面もばっちりだ。
俺とカンナとサテナは、もう少し先まで行ってみることにする。
さっきから暗黒大陸を歩いていて、気づいたことがある――。
「なあ、カンナ……ここって……」
「ああ、似ているな……」
「大魔境に……」
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