死んでくれと望む声
山本アヒコ
「死ね」「死ね」「死ね」「死んでくれ」
と、何度言ったところで誰も死なない。何も変わらない。俺はこの部屋から出られないし、出る気もない。何もかも社会が、世界が悪い。俺を認めてくれないのが悪い。バイト先の先輩も、学校の先生も、父親も母親も、弟も妹も。俺の頭が悪いのも、太っていてブサイクでスポーツが苦手なのも、俺が悪いわけじゃないのに。なぜいつも俺ばかりがこんな目に合わなければいけないんだ。
床に転がったペットボトルとアルミ缶を、何度も蹴飛ばして踏みつぶして寝た。息苦しくて目が覚める。
年老いた父親が俺の首をヒモで絞めていた。振り払おうとしたら腕が動かない。ヒモで縛られていて、シワだらけの顔で母親が押さえつけていた。
「死んでくれ」「死んでくれ」
死んでくれと望む声 山本アヒコ @lostoman916
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