第二章
大納言の少将は死に、ひととき京の都を騒がせたものの、いつしか人の噂は左大臣家の姫君の入内についてもちきりとなりました。
姫君は表向きは沈黙を保ったままでしたものの、少将を狂わせたほどの美しさが評判となり、入内までにせめて一言と文を贈ろうとするものが後を絶ちませんでしたが、姫君と左大臣家の警戒は強まり、今や伝手を頼ろうとしても女房達をはじめとして誰一人、文を取り次ぐものはおりませんでした。
裳着と入内を控えたことで屋敷のなかは絶えずさざめいておりましたが、姫君と夏木にとっては残された貴重な時間でした。
入内を果たせば、屋敷での姫君としての暮らしからは一変いたします。
主上のご寵愛を受け入れ、いずれは中宮となるために一層の磨きをかける。
姫君の美しさは主上のお耳にも届いており、お心待ちにしているとのお言葉もございました。
時は止まりません。世を動かす時勢も思惑も。
姫君はどのような思いで自らを取り巻く動きをご覧になっていらしたのか。
それは、これから語ることでございます。
まだお若い主上と姫君との出逢い、そして夏木のありよう。
では、物語を始めましょう。
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