(二)-16

 それから一週間経った。ターゲットのコウジ君の顔の確認はできた。しかし肝心の彼との接触がまだできていなかった。

 彼は休み時間中も基本的には自分の席にいるタイプだった。トイレに席を立つことはあったが、体育や移動教室以外は基本的に席にいる。いつでも接触できるハズだった……。

 ハズだったのに、後ろの席にいるバカが、いつも邪魔してくるのだ。

「なあ、数学の教科書忘れたから見せてくれよ」

「昨日のテレビ見た?」

 など、どうでもいいことばかり話しかけてきた。挙げ句の果てには「なあ、お前の次のターゲットは誰なん?」などと聞いてくる始末であった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る