担任から言い渡された試練は、落ちこぼれ少女の彼氏になることでした
星海ほたる
第1話 決断
「おい、
担任のシンちゃんこと、
シンちゃんとは普段から仲が良く、先生と呼んだりシンちゃんと呼んだり様々。シンちゃんは僕のことを普段は
「どーしたんですか?」
「どうしたんじゃなくて、お前。テストの日休んで東京行ってただろ」
「それがどうしたって言うんですか」
「お前、たいがくだぞ」
「あぁ、
なーんだ、そんなことかぁーと思っている僕の言葉にシンちゃんは首を振った。上下ではなく左右に。
「え……。退学!!??」
思いもよらない突然の報告に戸惑う。冗談ではないかと先生の顔を見つめるが表情は変わらず、じーと顔を見てくるだけ。
「ほんと?」
「先生が生徒に嘘つくと思うか?」
「うん」
「そうだとしても残念。これはほんとに退学。お前、前にも深夜に補導されて指導なっただろ。少し厳しい判断ではあるかもしれないが退学だ」
先生は他の生徒にバレないように配慮しながら言った。この行動から本当の話なのだろうと確信。更に不安が
「だが。一つだけ」
「一つだけ??」
「あぁ、この学校に残る方法がある」
「マジで!?」
先生はそう言いながらも少し心配そうに言うのに
だけど、もうこれしか方法はない。親にバレたらむちゃくちゃ叱られて、幻滅され、家庭での居場所がなくなることだってありうる。てかバレないわけがない。
「やります」
「わかった。ならお前に試練を与える!」
先生は表情を柔らかくし、少しおもしろそう気な様子で言った。笑ってる場合かと心のなかでツッコむ。
そしてシンちゃんが言い放ったのは、僕にとって到底理解のし難い。最低で最高?な試練。
「おちこぼれ少女の彼氏になれ」
「は!?」
あまりの予想外な試練に驚いて素っ頓狂な声が教室に響いた。
おちこぼれ? 少女!? 彼氏!!?? 意味がわからん。
「でもそんな子知り合いにはいないし、突然彼氏って……」
「そうだな。岬の友達ではない。だがうちの生徒だ。不登校で成績も微妙な子なんだが、学校を楽しんでなさそうで、クラスからも浮いている。だからそれをお前が彼氏になって変えてやるんだ。彼女の寂しさを埋めてやる。それがお前の試練」
「俺は
彼女なんて生まれてから今に至るまでいたことがないし、それも不登校の子だなんて。僕が知ってる子は、心に深く辛い傷があったり、空気が読めなかったり、そんな子ばかりだから彼氏だなんて荷が重い。それに好きでもないのに付き合って、いつかはお別れ。それはその子にとって失礼だし、自意識過剰なのかもしれないが、万が一その彼女が僕のことを好きになってしまったら……。
「お前はやっぱり、退学でいいです」
気づいたときにはもう口が勝手に動いていた。
「お前ならそう言うと思った。だけど、よく考えろ。お前の人生もかかってる」
そうだ。僕はいつからそんな甘ったるい考えの人間になったんだ。なんでそんな子のことで僕が退学なんかに……。
「決まったか」
「はい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます