約束の沖縄

神楽堂

第1話 由紀子との約束

「必ず沖縄に帰ってくる」

宮里拓真みやざと たくまは、由紀子に約束した。


「必ず帰ってきてね。約束だよ」

由紀子ゆきこは、大好きな宮里の身を案じていた。


時は大東亜戦争、真っ只中。

宮里は陸軍少尉であった。

剣道の有段者でもあり、たくましい体つきに鋭い眼光、まさに軍人の中の軍人であった。


「もし、俺が戻らなかったら……」


「そんなことは言わないで」


「戻らなかったら、俺は靖國やすくに神社の桜の花になっていると思ってくれ」


「何それ、拓真、お花になるの?」


「ふふふ。まあ、そういうことだ」



宮里は故郷である沖縄でのしばらくの休養を終え、

家族、そして大好きな由紀子に別れを告げ、内地に戻った。

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