第26話 一緒に幸せ、なりたい

 放課後、誰もいない二人きりの部屋。

「えへへ、嬉しいんだよ、風花……悠真君の事、風花が……えへへ、風花が、好きに、大丈夫……えへへ、いつも、こうだったでしょ、風花と悠真君は……えへへ、悠真君……風花ね、悠真君の事……」


「ちょ、え、風花ちゃん……え!?」

 歩美と付き合ってない―その言葉を言った瞬間、ベッドの端っこに座って布団に包まる風花ちゃんを撫でていた俺は、風花ちゃんに凄い力でベッドの中に引きずり込まれる。

 そして、俺の身体をもう離さないぞ、という風にギューッと抱きしめて……ちょ、え、風花ちゃん!? ど、どうしたの急に!?


「風花ね、悠真君の事……えへへ、悠真君だ、悠真君、いっぱい、感じる……悠真君、ぎゅーってすると、悠真君が、風花の中で、溢れそうになって、ぽかぽかあったくなって、すごく幸せ……えへへ、幸せが、いっぱい、風花に、流れ込んでくる」

 そんな困惑する俺をよそに、風花ちゃんが俺をぎゅーっと抱きしめる力は段々と強くなって、脚も絡めて本格的に抱き着く姿勢に入る。

 そして幸せそうにほっぺを緩ませて、そんな危ないセリフを言って……ふ、風花ちゃん!? その、抱き着くのとか、その……マジで、俺、やばいって!


「えへへ、悠真君、幸せ……悠真君が、いっぱい……やっぱり、風花、いつも、こうしてたい……悠真君と、二人で、幸せ、いっぱい、感じたい……」


「ふ、風花ちゃん、ダメだってこんなこと! ちょ、風花ちゃん……ひゃう!?」


「んちゅ、ちゅぱっ……ダメじゃないよ、悠真君、んちゅ……だって、ちょっと前までは、こうやって、ちゅぽっ、甘々時間、してくれた……こうやって、ぎゅーってしながら、甘々幸せ時間、過ごさせてくれて、ちゅぷっ、風花は、悠真君の幸せ、いっぱい貰って、幸せすぎて、ふわふわだった……風花と悠真君は、ずっとこうだったでしょ? 風花と、悠真君は、いつも一緒で……いつも、こんな風に甘々してたでしょ……んちゅ、ちゅぱっ……」


「はうぅ……ひゃうぅ……」

 ……やばい、ダメだ、全然力が入らない。

 風花ちゃんに耳を舐められて、首元にキスされて……温かくて、気持ちよくて全然身体に力が入らない。


 骨抜きにされるような、ダメ人間にされちゃうみたいな、そんな心地よくて、幸せな感覚……こんな気持ちいい感覚から、逃げられるわけない、抵抗できるわけない。

 風花ちゃんの耳舐め、気持ちよすぎてやばい……身体がふわふわなって、何も考えられなくなりそう……てか、なってるよ、もう。ほとんど、もう、何も考えられない。


「風花ね、悠真君と、ちゅぷっ、ずっと一緒だったよね……ちゅぱっ、一緒に生まれて、一緒に過ごして、ちゅぷっ、一緒に遊んで、一緒に……お風呂もベッドも、んちゅ、ちゅちゅ、ずっと一緒だったよね? 全部一緒に過ごしてきた、んちゅ、悠真君と、ちゅぷっ、風花……今が、おかしいんだよ? 今が、変なんだよ」


「……ふ、風花ちゃん……あんっ、んんっ……」


「風花と、悠真君は、いつだって……ちゅぷっ、ちゅぽっ……えへへ、悠真君のお耳、甘くて、美味しい、幸せな味。それに、悠真君も……えへへ、悠真君、気持ちいい? 風花に、耳、はむはむされるの、気持ちいいの、幸せなの……ちゅぱっ……」


「ひゃ、ひゃう……う、うん……ひゃひ……」


「えへへ、嬉しい。悠真君に、気持ちよくなって、幸せなってくれるの、風花、嬉しい……いつもは、風花が、悠真君に、気持ち良くしてもらってるから、今日は、風花がお返し……んちゅ、ちゅぷっ、ちゅぽっ……えへへ、悠真君、気持ちいい、ですか? 風花で、幸せな気分、なれてますか? 悠真君の中、風花の幸せで、いっぱい、なれてるかな?」


「う、うん……ひゃう……」


「えへへ、嬉しい……風花で、悠真君が幸せ……えへへ、すっごく、嬉しいよ、悠真君……風花で気持ちよくなってもらえて、悠真君が、幸せ感じる……風花ね、すっごく嬉しいよ」


「はうぅ……」

 そんな俺の様子に気づいた風花ちゃんが、さらにまくし立てるように俺の耳をはむはむちゅぱちゅぱ美味しそうに、少しいやらしく舌で転がして。


 耳に響く心地よい水音と感覚、前方数センチのところにある風花ちゃんの耳を舐める、甘くて幸せそうに蕩けた表情……もう正直、限界が近い。気持ちよすぎて可愛すぎて限界が近い―というか、もう限界突破してる。

 本当に気持ちよくて、幸せで……隠してた風花ちゃんへの想い、もう爆発してる、大好きが溢れようとしてる。


「ちゅぷっ、悠真君……えへへ、好き、悠真君、耳、好き……ちゅぱっ、ちゅぽっ……えへへ、風花も、気持ちよくて、幸せ、なってる……悠真君と、ぎゅーして、風花も気持ちよくなってる……んちゅ、んんっ……えへへ、ちゅーしながら、ぎゅーってするのも、好き……えへへ、悠真君の、ほっぺとか、首とかにチューするの、大好き……もちもち、幸せ好き……悠真君とのちゅー、大好き」


「あうっ、あむっ……んっ……」


「んちゅ、んんっ……えへへ、幸せ。悠真君に、こんな、幸せ出来て、もらえて……ちゅぷっ、えへへ、気持ちよくて、お腹も、身体も、ぽかぽか、幸せ……風花も、悠真君も、気持ちよくて、幸せ時間……えへへ、大好き、悠真君……えへへ」


「……あうっ……」

 去年のクリスマスとは全然違うから。

 あの時は風花ちゃん寝ぼけてたし、相手が俺じゃなかったから何とか耐えられたけど、今は全然違う。

 あの時とはテクニックも、表情も、感情も……全部全部、全然違う。


「えへへ、風花、すっごい幸せ、気分……ちゅぷっ、悠真君の幸せ、風花に届いてるよ……でも、ちゅぱっ、もっと直接、風花に、届けて欲しいな……悠真君の幸せ、風花のお腹に、ちゃんと、ちゅぷっ、届けて、欲しい……えへへ、悠真君と、一緒になりたいって、風花の心が、身体が言ってるよ……悠真君と、一つになりたいって、いってる……えへへ、悠真君……ちゅぷっ、ちゅぱっ……」


「ふ、風花ちゃん……」

 今は完全に、その感情を俺に向けてくれていて。

 完全に俺を標的にして、俺に気持ちよくなってもらいたくて、自分もなりたくて、俺と……違う、風花ちゃんは俺の事好きじゃないんだ……風花ちゃんが、俺の事、好きなわけないんだから。そんなわけないんだから! 絶対絶対、ないんだから!!!


 風花ちゃんには彼女がいるし、俺にも……でも、でも……

「風花の身体が、悠真君を、欲しいって、言ってる……ね、ねえ、悠真君、わかる? 風花の、わかる……風花、準備万端だよ……悠真君のために、風花、もう準備できてるよ……ちゅぷっ……」


「!?」

 俺に「それ」を感じてもらうために、風花ちゃんがぎゅーっと強く足を絡ませてくる。

 感じる、びちょびちょに濡れた感覚。クリスマスの時よりももっとすごい、ぐっしょりと濡れた冷たい感覚。


「えへへ、風花ね、悠真君でね、こうなったんだよ……風花、悠真君と、ずっと、こうしたかった……悠真君と、こう言う事、したかったんだ」


「ちょ、ダメ、風花ちゃん……」


「風花ね、おバカさんだった……悠真君への気持ち、全然気づかなくて、結婚したくらい、幸せだったのに、好きって気持ちがわかんなくて……でもね、もう、抑えられない。悠真君への気持ち、もう抑えられない……ダメって、わかってるけど、もう、抑えられない……悠真君への気持ち、全然抑えられない……風花、おバカさんだから、気持ち、止めらんない……ごめんね、悠真君……でも、大好き」


「ふ、風花ちゃん……」


「……悠真君も、すごく、熱くなってる……風花のお腹、熱くて硬いので、とんとんしてる……風花で、こうなってくれたんだよね……嬉しいな、風花……えへへ、風花で、気持ちよくなって、こうなってくれて、すごく嬉しい……大好きな悠真君が、風花でこうなってくれて、すごく嬉しい……」


「あうぅ……」

 ああ、ダメだ。

 もう、ダメだ、俺ももうダメだ……風花ちゃんの事、大好きだもん、やっぱり今でも、好きな気持ちいっぱいだもん。


「風花、悠真君の事、大好き……風花ね、ずっと、悠真君の事、大好きだったの……大好きで、もう、止められない……悠真君にも、風花の事、好きになってもらいたい。悠真君は、風花の事、好きですか? 風花の事、悠真君も大好きになってくれますか?」

 諦めてたのに、絶対に考えないようにしてたのに……こんなことされて、こんな事言われたら俺の気持ちだって止まらなくなる。


 秋穂さんがいるとか、難波ちゃんとか……そんな事、全部ぶっ飛んで、風花ちゃんと一緒に、全部したくなる。大好きな風花ちゃんと、全部したくなる。


 最後まで、この感情を、このドキドキをぶつけて、風花ちゃんと幸せになりたい……

 風花ちゃんと身体も、心も、大好きも、幸せも……全部全部共有して、幸せになって、幸せにして、幸せで満たしたい……だから風花ちゃんと、大好きなりたい。ずっと一緒に居て、ずっと幸せで、甘々で、大好きで……そんな生活、風花ちゃんとしたい、風花ちゃんと一緒が良い!


「風花、悠真君と一緒が良い……大好きも全部一緒で、それで……悠真君に、大好きになってもらって、そう言う事、したい……悠真君の幸せ、全部風花が受け止めたい、悠真君を、全部ひとり占めしたい……悠真君を、全部全部感じて、いっぱい幸せになりたい……悠真君、大好きだから。悠真君大好きだから、身体全部、悠真君の幸せで、満たしたい……風花、悠真君と、悠真君と……」


「……風花ちゃん、俺も……俺も、風花ちゃんと一緒が……風花ちゃんと、風花ちゃんと……」


「……うん」


「俺も風花ちゃんの事、風花ちゃんの事……!」

 ジリジリジリジリジリジリ


『!?』





 ―風花、風花、風花……風花!!!


 ―風花、風花……風花!!! 風花風花風花風花風花風花風花風花風花風花風花風花風花風花風花……風花風花風花!!!!!!!!!!!



 ★★★

 9時ごろ、新作あげます。

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