メンタルコーチな彼女 ー 彼女と、僕と、サッカー部
Lily-ゆりっぺ
第1節 プロローグ
厚いコートや手袋を
ひんやりとしたロッカールーム。
「
ガッチリ組まれた円陣から雄叫びが上がった。
「よし!」「行くぞ!!」「頼んだぜ!」「うぉー、ブルッときたぁ!」「おいおい、アップ足りてねぇんじゃねぇの?」
ドッと笑い声が上がった。
大事な試合前だというのに、緊張感とかそういうの、こいつらにはねぇのかよ、
ユニフォーム姿の選手達が口々に騒ぎながらカツカツとスパイクの足音を立てて出て行き、ロッカールームに一人残された翔は、ロッカーに置かれた一冊のノートに目を止める。
ここまで来れた。でも、これがゴールじゃない。
翔はペコリと90度に頭を下げ、「行ってくる」とつぶやくと、
ゆっくりとロッカールームの扉を閉めた。
静けさに包まれるロッカールーム。
シューズ入れの上に置かれた青いノート。
これは、このノートに書かれた選手たちの一年間の記録である。
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