クラスメイトの同居人

ハル

第1話 同居人

♪♪♪〜……


鼻歌交じりの私は念願の一人暮らしに浮かれモード。


でも、一人じゃ広すぎる気がして寂しく感じる。



「ルームメイト募集する?…でも、念願一人暮らしだからな〜…」



私、菊馬 朋花(きくま ともか)。15歳。


今年の春4月から新・高校一年生になる。



友達に“一緒に住まない?”て言ったものの親元離れるのは気楽だけど、“何かあったら怖いから”とかの理由で断られた。




♪♬♬…



私に一本の電話が携帯に入る。




「もしもし?ママ?どうしたの?」


「朋花、あなた一人暮らししてるでしょう?良かったらパパの知り合いの息子さんと一緒に住んでもらえないかしら?」



「えっ!?ちょ、ちょっと待って!男の人でしょう?ひとつ屋根の下で男と女が……」


「部屋余ってるでしょう?それとも実は一緒に住んでる相手でもいるの!?」


「いや、いないし!いたらパパやママにお金の仕送りしてもらわないし」


「だったら良いでしょう?」




「…………………」




「パパの知人だし一人息子さんだから男の人と一緒なら泥棒よけとか色々と役に立つし力強いし」


「そうだけど…」


「良いわね。一緒に住まないなら、お金の仕送りも辞めて、こっちに戻って来てもらうわよ!」


「えっ!?そ、それは困る!わ、分かった!分かりました!一緒に住むから!」


「いい子ね〜。じゃあ、お願いね。仲良くするのよ」


「う、うん。分かった」





そして次の日―――――



「へえー、そうなんだ」



親友の、岸矢痲 裕香(きしやま ゆうか)



「うん。ひとつ屋根の下に思春期の男女が一緒に過ごすんだよ?どう思う?」


「まー、相手が異性なら助かるよね?イケメンだったら、もっといいね!」


「そっち?」


「えーー、良いじゃん!」





キーン…


   コーン…


カーン…


  コーン…





始業ベルが鳴り、私達のクラスに一人の男の子の転入生

がきた。




「カッコイイ〜♪」

「超イケてる〜♪」



クラスの女子生徒が囁く。


彼の名前は、椎納 瀏司(しいな りゅうし)君。




「ねえねえ、イケてるね」と、裕香。


「えっ!?あー、うん。まあ」




《ストライクゾーン。私の好みかも♪》

《私の王子様♪な〜んて、キラキラ眩しい》



彼の人気度は高かった。





その日の夜―――――




「あーー…バイト疲れたーー」



ドキッ



「…人…?」




マンションの建物の出入り口に人影がある。


暗くて良く顔は見えない。


ゆっくりと恐る恐る出入口に歩み寄る。


心臓はバクバクだ。




すると――――





「ねえっ!」




ビクッ



「は、はいっ!な、何ですか?お金とか持ってないし、襲うにしても色気とか何もないですよ!ていうか…な、何してるんですか?け、警察呼び……」


「ちょ、ちょっと!待って!そういう怪しい者じゃないし!」




歩み寄る相手に対しサササ…と後ずさりする。




「充分怪しいですよ!」


「いや、俺、人探してて、ここのマンションの住人に用事あんの!」


「はああぁっ!?だったら大家さんにでも頼めば……」


「それが出来ねーから困ってんだよ!写真と名前が唯一の頼りで」


「名前と写真!?」


「そう!君、菊間 朋花さんでしょう?」


「…そう…ですけど…やだ!何?どうして私の名前知ってんの!?ストーカー!?」


「いやいや、俺、あんたの同居人だからっ!」


「えっ!?ど、ど、同居人!?」


「そう!」



「………………」



「…そう言えば…。…あの…もしかして…私の父親の知人の…?」


「そう」


「ごめんなさい。詳しい事、聞いてなくて…」


「いや、大丈夫。お互い様だと思うし」


「取り敢えず部屋に」


「ああ」




建物の中に入り、明るい所で相手を確認。



次の瞬間―――――



「えっ!?ええーーっ!?同居人って…」

「俺」



サササ…


後ずさりする私。




「ま、ま、待って!あ、あなた今日の転入生の……」


「椎納 瀏司君でーーす♪奇遇だねーー?俺も正直、驚いたけど」


「同級生であり同じ学校。しかもクラスメイトって…」


「まあ、つまり今日から宜しく!菊間 朋花さん♪」


「う、うん…」





まさかの意外な人物


しかも……


人気があり


イケメンで好みのタイプで


王子様なんて言った自分がいた





そんな彼と私の同居生活が始まる。













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