2023年1月14日(土)





やめろよ右手ぇぇぇぇっ!!








部屋に絶叫が響く。








吾輩の右手が今日も、ゲーム機を掴む。








やめろっ、やめろっ、やめてくれっ!!







左手で右手を押さえつけても、


右手が言うことをきかない。






おまけに左手まで洗脳されてしまう。





腕が自我を持ったように動く、ゲーム機を目指し。





どんなに隠そうが、



ソフトを抜こうが、



違うことに専念しようが、



右手が率先してゲーム機を探しにいってしまう。






両の自由を奪われた吾輩。






廃人のようにゲームに熱中してしまう。







それを見て同居人の貧しい爺さん2人が微笑んでいる。







歯を食いしばる。






壁に腕を打ち付ける。






気づいたらゲーム機が握られている。






そんなことをもう3日も続けていた。






吾輩、もう異星人に体を乗っ取られたのかもしれない。






キャトルミューティレーションされて、

両の腕(かいな)にゲーム機を取り付けられてしまったのだろう。





きっと磁石式だ。






離しても離しても引き寄せられる。






もう終わりだ。






吾輩、このまま異星人の思うツボだ。






さよなら、皆さん。






覚悟を決めて、次のソフトに手を伸ばした時、御幸が差し込む。






声がする。穏やかなひだまりのような声音だ。





頑張るのだ、お前の小説にコメントをつけてくれるような優しい、もの好きがいる。





その優しさに報いなさい。




吾輩、気がつくと鉛筆と原稿用紙を握りしめていた。






鉛筆が手から離れない。






だが、それで良い。





吾輩、それで良いのだ。






この握ったものだけは、離れなくて良い。






離すつもりも、毛頭ないのである。

















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