ひとりの「人間」
まがつ
そこにある。
その箱の中にはあらゆるものが詰め込まれていた。
チョコレート菓子の空箱。しわのついたスーツ。やたら前向きなタイトルの本。薬の箱。中身の入っている化粧ポーチ。肩紐が伸びてしまっているブラジャー。今流行りの漫画。心理学のテキスト。薬の説明書。絆創膏の剥離紙。畳みもしていないTシャツ数枚。米粒がついたまま丸められたラップ。アルコール飲料の空き缶。ストロー。化粧水のボトル。ゲーム機(据え置きと携帯型どちらも)。ノートパソコン。PTPシート。散乱し絡みあっている電源コードと充電コード。そして、そこから繋がる光る板。そのそばにあるのは、肉でできた人形。
その部屋には、ひとりの人間の世界が、確かに存在していた。
ひとりの「人間」 まがつ @magatsuD
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます