退廃論


 街に色を無くした風が吹く。

 文化を奪う風が吹く。

 轟々と音を鳴らして。

 世界から意味を奪って行く。

 ひどく倫理から外れた世界が空回る。

 逃げた先でまた。

 暗い風が吹く。

 退き廃れる物語。

 二進数で分解された世界が零と一とを紡ぎだす。

 夢を忘れた世界から。

 色を奪われた世界から。

 悪しき風が吹くだろう。

 電子の悪魔が終末の笛を吹く。

 それが免罪符だと騙る。

 二度と出会う事も無い。

 あゝ色を無くした風が吹く。

 あゝ色を無くした風が吹く。

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