30話 勝利の余韻
翌朝。
街は既に大騒ぎだった。
四天王退治が大きな騒ぎにでもなっているのだろう。そして俺達は朝食をとりに食堂に向かう。
そこでもやはり話題の中心は魔王軍についてだ。
「昨日は本当に凄かったな」
と戦士風の男が言う。
「そうだな。まさかあんな化け物が潜んでいたとは
」魔法使いっぽい男も続く。
「しかしあの女の子は可愛そうでしたね」
僧侶みたいな格好をした女性が呟く。
「あれは仕方ないだろう。むしろ殺さなかっただけマシだろ
盗賊風の男も続いた。
「でも結局勇者様が倒したんでしょ?」
隣のテーブルに座っていた女性達が話しているのが聞こえてくる。
「そうみたいね。やっぱり勇者って強いんだ」
「憧れちゃうよね~」
「私も強くなって勇者様に守ってほしい」
「私は一緒に戦ってくれたら嬉しいかな」
「それも有りだよね」
「「キャハハハ」」
「あはは」………………
そんな会話が隣では繰り広げられていた。俺はそれを聞き流しつつ朝食をとる。
食べ終わると宿を出てギルドに向かった。
中に入るとまたもや視線が集まる。
もう慣れてきた。気にせず掲示板を見る。
そこには魔王軍の情報が貼られている。
魔王軍は現在、魔王が四天王がやられたことに激怒しているようだ。そのため人間領への侵攻を早めるつもりらしい。
この情報が正しいかどうかはわからないが警戒しておく必要がある。
それからも情報収集を続ける。
「そっちは何か有ったか?」
俺はルーナ達に尋ねた。
『特には……』
「同じく」
「同じくだ」
「わかった。じゃあ行くぞ」
俺達はギルドを出る。
外に出ると人通りが多い。そして皆不安そうな顔をしていた。
無理もない。いつ自分や家族が襲われるかわからないのだ。
だが、だからといって俺が何かできるわけでもない。
俺は自分の無力さを噛み締めながらその場を去った。
「これからどうするんですか?」
「この機に一気に魔王をぶち倒そうと思う」
「おお!」
「さすがです!」
「素晴らしい考えだと思う」
「まあ、その前にまずは準備を整えないとな」
「確かにそうですね」
「装備を整えるのは重要」
「そうだな。金は有るから良い武器を買うとしよう」
俺達は武具屋に向かうことにした。
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