This Is How I Disappear.

不可逆性FIG

コレガワタシノキエカタ

 世界が青く染まる境界線。

 静寂と喧騒の束の間。

 祈りは届かず、また夜が漂白される。

 錆だらけの歩道橋の上を独り歩いている。街は静かだ。きっと大声で歌っていても、誰も私に気付かないだろう。それでいい。それがいい。


 なんだ、そんなこと悩んでたのか。

 そんなこと、これからいくらでも出来るよ。

 てかさ、そんなこと気にしてるなら早く捨てちゃえば?


 みんなは言う、口を揃えて「そんなこと」って。じゃあ、それすら満足に出来ない私はなんなんだろう。

 きっと何かの拍子に出来てしまうことがあるかも。でもそれじゃあ、私の本質は変わらない。だから、世界が嫌いだ。人並みすら出来ない私は私が嫌いなんだ。

 ……ああ、これから大型トラックが速度を上げて歩道橋の下を走り抜けてくる。そしたら、私は。

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