大事件勃発前
そうざ
Before the Big Incident
警官「通報を頂き、やって参りました。何が起きましたか?」
市民「はい、いえ、正確に言いますと起きたのはなく起きるんです。今から十分後に」
警官「どういう事ですか?」
市民「ついさっき十分後の私がやって来ましてね、知らせてくれたんです」
警官「どんな事件が起きると言ったんですか?」
市民「それが、大事件、大事件の一点張りで肝心の内容が……そうだ、お巡りさん。貴方も一緒でしたよ」
警官「えっ、本官が同行していた?」
市民「お巡りさんは、何か心当たりないんですか?」
警官「そう言われましても……しかし、本官が一緒だった以上、本官にも責任があるという事になります。肝心の事件は起きてないので、今は何も出来ませんが」
市民「それじゃ、事件が起きるまで一緒に待ちましょう。あ、どうぞお寛ぎになって下さい。お茶をお持ちしますので」
警官「どうぞお構いなく……ああ、どきどきするなぁ。実は本官、派出所勤務になってまだ一週間で、事件らしい事件に出くわしていないのです」
市民「私だってまさか自分の身に大事件が起きるなんて、今日の今日まで考えてもみませんでしたよ」
警官「もう直ぐ十分経ちますね……」
市民「あっ!」
警官「どど、どうしましたっ?! 大事件ですかっ?!」
市民「今から十分前の私に、十分後に大事件が起きるって事を知らせに行かなくちゃ」
警官「そうかっ、それじゃ私も同行を……あ、でも何て説明するつもりですか? どんな大事件なのか判らないんですよ」
市民「そっか……だけど、何かしら大事件が起きるって事だけでも知らせた方が良いのでは? 心構えが出来るでしょ?」
警官「なるほど。事件を未然に防ぐのも警官の務めですっ。了解しましたっ、直ちに知らせに行きましょうっ!」
市民「それ行けーっ!!」
警官「急げーっ!!」
大事件勃発前 そうざ @so-za
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます