十七日目 燃える情欲
その日、シュオンの北方にあるゲブ王国の城内は騒然としていた。それは昨日、城内の見回りをしていた一人の少年と兵士の内の数人が跡形もなく姿を消した事で女王がより城内や城下町の警備を強化するように命じたためであり、南方のクスザ王国が何者かに襲われ、王達が命を落としたという報せも兵士達の雰囲気をピリつかせる要因となっていた。
そしてその雰囲気の中、数人の少年少女が城内のとある部屋の中で落ち着かない様子を見せていた。
「はあ……ほんと、勘弁してくれよ……」
「そうだよね……ただでさえ私達は待遇があまり良くない組な上に見回りとか城内での小間使いで疲れてるのにあんなにピリピリした状態ばかり見せられてたら、気が休まる時なんてないって」
「それなのに、女王と王子達は俺達にばかり任せて命令するだけで、委員長と副委員長も二人で暖かい部屋でイチャイチャしてるだけだし……はあ、こんなところから早く出ていきたいよな」
「で、でも……私達は他に行くあてもないし、ここは本当に寒い地域みたいだから、ここを出ていったら他の国に着く前に凍えて死んじゃうよ……」
「それはそうだけど、この生活にいい加減うんざりしてるのも間違いないだろ。お前達だってあの顔しか取り柄のない王子の夜の相手なんてもうしたくないだろうし、俺達が見回ったり忙しくしてたりする時に委員長達の部屋からイチャついてる時の声が聞こえてくるのはもう嫌だろ?」
「それは……」
少し気が強そうな少女が黙る中、少年の一人は小さくため息をつく。
「運が良い事に俺達はそれぞれ気配を消す能力と物体の鑑定が出来る能力、それと姿を変えられる能力に音を消す能力を持ってる。だから、能力を使って四人でとりあえずどこかに逃げてしまって、そのまま四人で生活しないか?
もちろん、その間に俺達男子組がお前達女子組に対して乱暴な真似はしないし、基本的に力仕事は俺達に任せてくれて良い。流石にそれくらいしないと、お前達も安心出来ないだろうからな。お前もそれで良いか?」
「ああ。今は四の五の言ってる場合でもないし、俺が同じ立場だったらそれくらいないと安心して一緒に行動なんて出来やしないと思う」
「アンタ達……けど、いざとなったらアンタ達も放っておいて逃げるからね? 非情かもしれないけど、全員捕まったらそれこそ何も良い事はないから」
「ああ、それで良い。それじゃあ次は──」
その時、部屋のドアが勢い良く開き、四人がビクリと体を震わせていると、そこにはフードを目深に被って顔を隠したローブ姿の二人組がおり、ローブ姿の二人は荒い息づかいで肩を上下させていた。
「だ、誰だ……!?」
「少なくとも、私達のクラスの人達じゃなさそうだけど……」
「た、助けてください……! 私達、追われているんです!」
「お、追われてる……?」
「だ、だから……まずはこのドアを!」
「し、閉めたら良いの……?」
そう言って気が強そうな少女がドアを閉めると、ローブ姿の二人は少し安心したように息をつき、その内の一人は近くにいた少年のそばに寄り、フードで顔を隠したまま耳元で囁いた。
「ありがとうございます。これでとりあえず安心出来ました」
「お、おお……そうか……」
ローブ姿の人物の囁き声とチラリとローブの中を見せた事で少年はどぎまぎしながら答え、もう一人のローブ姿の人物もおとなしそうな少女に近づいてからフードで隠した顔を少し少女の顔に近づけた。
「君達は本当に素晴らしい人達だ。それに、こんなに可憐だなんて……君と出会えたのは本当に幸運だったよ」
「か、可憐だなんて……そ、そんな事……」
「それで、アンタ達は誰なわけ? 今、この城内は昨日いたらしい侵入者のせいで騒ぎになってるのにどうやって入ってこれたの?」
「そうだ。もし、お前達がその侵入者ならただじゃおかないぞ」
「……誰なのか、か。それじゃあそろそろ正体を明かすか」
「そうですね」
そう言った瞬間、四人の少年少女の体は電気が走ったかのように震え、少女達が足をガタガタとしながら膝から崩れ落ちる中で少年達は少々前屈みになりながら息を荒くし始めた。
「な、なんだこれ……!?」
「何故か……コイツの事が欲しくてたまらないし、今すぐにでもめちゃくちゃにしたくなって……!」
「んんっ……今、そんな事をしてる場合じゃないのにすごくコイツに色々触ってもらったり触ったりしたくなってる……!」
「ど、どうして……!」
頬を赤くした少女達が内股になりながら胸やへその辺りに手をやり、興奮で息を荒くしながら口元によだれを垂らす少年達の体の一部がその劣情を表す中、ローブ姿の二人はフードを取り、その内の一人だった光真は四人の姿を見て満足そうに頷いた。
「よしよし、これでコイツらは陥落だな」
「そうですね、光真君。それにしても、こっちの男の子達の私を求めて興奮するその姿、はあ……何がなんだかわからない中でもどうにか抵抗して、でも私を求めて心と体はその事を嫌でも主張しているその姿はすごく惨めで見ているこっちまでなんだか興奮してきます……」
「ははっ、真言は相手より優位に立つのが好きだしな。別につまみ食いはしても良いけど、変にやりすぎるなよ?」
「ふふ、わかってますよ。光真君もその子達と遊ぶのは別に良いですけど、その後は……わかってますよね?」
「ああ。その後はちゃんと真言も相手するって」
色っぽい吐息を混じらせながら言う真言に対して光真が笑いながら答えていると、気が強そうな少女はゆっくり立ち上がると、太股に粘度のある滴を垂らしながら回らない口で光真に話しかけた。
「あ、あんら……たち、ほんとに……なにもにょなのよ……」
「お察しの通り、俺達は侵入者だ。ウチの仲間の一人がお前達の元仲間で、昨日もちょっと罠にかけたらまんまと情報をバラしてくれたレーダー君や兵士の一部を頂いたしな」
「お、お前達の仕業だったのか……!?」
「それも、私達の仲間って……い、猪狩君の事ですか……!?」
「その通りです。敦史君はあなた達の事をだいぶ憎んでいて、あなた達を含めたこのお城の人達全員に復讐をしたがってるんです」
「まあ、力がないだけであんなに寒い中へ何も持たせずに放り出されたら恨まれても仕方ないよな。そして俺達はその協力者で、これからお前達と後は昨日の奴から聞いた少々厄介そうな能力者も頂いてくかな」
「そ、そんな事はさせ──」
「……はい、しか返事は許さないぞ?」
「は、はひぃっ!」
息を吹き掛けながら言った光真の言葉に気が強そうな少女は体を震わせながら答えると、太股を伝う滴は数滴増え、少女は尻餅をつきながらボーッとした様子で光真を見つめた。
「お、おい……! お前、コイツに何をしたんだ!?」
「何って……おいおい、お前達も現在進行形で実感してるんじゃないのか? 男子組は真言に、女子組は俺に対して欲情して、こんな場所でも良いからこの身体を味わい尽くしたり自分から色々されたりしたいってさ」
「そして意識はあっても、その欲求には抗えない。ふふっ……本当に良い
「ぐっ……!」
「さて、そろそろお前達を連れ去らせてもらうか。安心しろよ、俺達だって色々な奴をこれまで相手にしてきたし、最期までお前達を極楽に連れてってやるからさ」
下卑た笑みを浮かべながら光真が言った後、六人の姿は音もなく消え、更に数人の姿が消えたと城内の人間が気づいたのはそれから数時間後の事だった。
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