第7話 代わりの戦士

『光炎ズーリーダー、Z3ズースリーの修理が完了しました。映像データを元に改良もされています。これなら堕天使を六問さんと共に倒せるはずです』


彼女のスマホに連絡してきたのは整備士の男性。


「分かりました。すぐに向かいます」


返事を返し電話を切り「さて。Z3ズースリーが修理完了したそうよ。鈴静さん、あなたの実力が鈍ってないか、見せてちょうだい」と警察署に向けて運転中の戦友に激励げきれいする。


「もちろんです。期待に添えるよう、全力でやらせていただきます」


「頼もしいわ。でも無理はしないで」


如鬼の二の舞にはなってほしくない。

その表情は心配のあまり歪んでいた。



一方その頃如鬼は両親と兄で住む自宅で治療を続けていた。


ケガは完全に治癒ちゆしている。

しかしAIエーアイに頼りきった戦術に、自分の甘さを感じていた。


重いため息を吐きながら、散歩がてら外に出てみる。


(私はAIの操り人形だった。Z3ズースリーに装着者ではなくパーツとして見られている。うーうん。自分から変わないとダメだよね)


戦い方を見直さなければ。

そんなことを思っているとスマホに電話が掛かる。

表示された名前に即座にパスワードを入力し出た。


「もしもし」


『その返事だと元気そうね。本当によかった』


声の主は光炎、心配そうな震え声が聞こえてきたので数秒間整理が付かず目が泳いだ。


あんなに冷たい態度をついてきたのに。

なぜだろう?

そんな思考に囚われながらも「心配していただいて、あっ、ありがとうございます」と返事を返す。


『とにかく早めに現場に来てちょうだい。じゃないと鈴静さんに装着者の座をあげちゃうから』


「えっ? それはどう言う意味ですか?」


思わず声が出た如鬼に彼女はクスっと笑う。


『それぐらい急ぎでってこと。じゃあまたあとでね』


「はい。分かりました」


通話が切れ、急いで家に戻って行く。

若き戦士の戦いは、これから始まるのだ。


一方その頃六問と幕昰そして黄金の戦士は、デュエリスト・ダークエンジェルと交戦していた。


黒き槍〈スピアーグリフィン〉を巧みにゴアドが連続突きを繰り出すがバリアで防がれ、攻撃が届かない。


「神に選ばれし者。憎らしい。実に憎らしい」


「神に反しておいて羨ましく感じるのは、単なるワガママだぜ」


「人間の分際で言えたことか」


コケにされた堕天使がバリアを解除し、怨念達を弾丸の様に射出する。

高速で放たれた弾丸を槍で突き壊した。


そこにザーガは足の筋力を強化、力強く地面を踏み締め一気に加速しながら飛び上がりドロップキックを繰り出す。

だが再びバリアを張られ、まったく歯が立たず弾き飛ばされる。


「クッ……」


地面に着地し体勢を立て直すと、幕昰が彼に駆け寄りその場でリボルバーの銃口をデュエリスト・ダークエンジェルに向ける。


「あいつのバリアは確かに強力だ。でもよぉ。後ろは完全に無防備。必ず勝機はあるはず」


弱点は理解している。

だが相手もそれぐらい熟知しているだろう。

それでも倒さなければ、堕天使の進軍によって人類は滅びてしまう。

絶対そんなことは絶対にあってはならないのだ。


「幕昰さん……はい!」


相棒の言葉を信じザーガは吸い取っていた鉄をハンドガンに、さらに火薬を加えて銃弾が入ったマガジンを生成し装填する。


「金色の戦士さ………」


「ゴアドで良い」


「ゴアドさん! あいつの弱点は後ろ側です。無防備な背中を狙えば倒せます」


彼の助言に対し黄金の竜は幕昰に視線を送ると、自信気にサムズアップしてきたので信じ動き出す。


(人間の策は侮れん。本気で仕留めさせてもらう)


デュエリスト・ダークエンジェルはバリアを解除し、2本の剣を構え直すとザーガに向かって突っ込んで行く。

刃から怨念達を漂わせ、バツの字斬りを繰り出した。


ハンドガンのトリガーを引き銃弾を放った六問だが、堕天使の目には見えている。


「あまい!」


剣によって切られた銃弾と共にやられると思われたその時。


「ばっ………バカな……また………不意打ちだと………」


銃声が聞こえたと思えば、背中にめり込んだ通常より2倍の大きさの弾丸を受け傷口から大量の血が噴水の様に噴き出す。

銃弾を放ったのはスナイパーライフル〈サイコロプスハント〉を構えたZ3ズースリーだった。

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