じいやの語る×物語りI

ろぶんすた=森

物語りI:老師と4人の弟子

プロローグ 物語り

 私はじいやが大好きだ。


 じいやが話す物語り、魔法の数々、作る料理の全てが好きだ。


 一方で、じいやの物語りを話す時の悲しげな瞳は今でも覚えている…。


 ある物語りを話し終えた後、じいやは悲しそうな顔でニコリと笑い、

 ぼっちゃまと私では生きた時間が違いますので…

とこぼした。


これは、そんなじいやの語る物語りの話である。


———


 ある日、私は宮廷魔術師の魔法の勉強から逃げるために、じいやの私室に隠れた。

 

 じいやの私室は紙とインクの匂いのする古い本だらけの部屋で、隠れるにはうってつけの場所であった。


 ぼっちゃま、どうされましたか。

窓際にある椅子の方から私に向かって声が飛んできた。


 その声に少し驚き、声のする方に目をやると、太陽の光に照らされ綺麗に光る白銀色の髪を後ろで束ね、整えられたスーツに身を包み、そのスーツには少し不恰好であるネクタイを締めている老人がこちらをじっと見つめていた。


 私はじいやの視線に耐えきれず、バツが悪そうに経緯を語った。

 魔法の授業が嫌でじいやの部屋に隠れたんだ


 じいやは少し笑い、

 1日くらい仕方ないですね、私もあの宮廷魔術師は苦手です

穏やかな口調で述べた。


 じいやは窓際で何をしていたの。

私はじいやの持っている本を見つめながら問うた。


 じいやはその問いに対して少し悲しそうな声で回答した。

 ある物語りを読んでおりました


 私はじいやの読む物語りに興味が湧き、

 じいや、その物語りを聞かせてよ。

屈託のない笑顔とイキイキとした眼差しをじいやに向けた。


 じいやは神妙な面持ちで、

 そうですね、ぼっちゃま…では、楽しい話ではなく、長い話となりますが…


 じいやは語り始めた…

 「昔、昔あるところに…」


 

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