星追いのステラ

泡森なつ

プロローグ

「ステラ、追いかけっこしようよ!」


 その言葉と声を、今も覚えている。残響となって俺の頭の中で響き続けている。


 俺は分かった、と答えてしまった。するとそいつは「じゃあ、はじめ!」と駆け出したので、俺も一目散に走り始めたのだ。


 景色はめまぐるしく変化し、受ける風も徐々に強くなった。あらゆる物体が引き延ばされるように見え始めたところで、俺は自分が光の速度に到達していることを知った。


 気づけば、俺が追っていたものは何処にも居なかった。ここがどこかも分からない、一体何をしていたのかさえも。俺は、自分と光以外の全てをのだ。



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