エピローグ 「仲間と共に」


「ハァ、やっと帰ってこれた……」



朱の咆哮クランハウス。


2週間に及ぶイベントも終わり、無人島生活から解放された俺たちは、リビングで寛いでた。


あの後、回収された黒モフは念入りにメンテナンスされ、再び中央エリアのラスボスとして配置されたみたいだ。

今回の騒動のお詫びとしてアイテム&褒賞が出るみたいなので、ラスボスを再び倒すのもアレだし……という事でイベントの魔物を緩く狩ってイベントポイントを稼いでいた。

息抜きに隠しエリアを探索してたらま・さ・か・の!

天然温泉を発見してしまった。

見つけた者の特権だよねと気が済むまで温泉を楽しんだ。

あの湯加減サイコーだったな……



「あぁ、今から料理作るの面倒だから在り合わせのでいい?」

取り敢えず皆に聞いたが、有無を言わさずアイテムボックスからゴソゴソと取り出す。

野菜炒めに生姜焼き……後は肉団子、3品あれば間に合うだろう。


「頂きます!美味しい……」

「ヨウスケは元気ですね。イベントも終わったので暫くは魔導具作りしたいんですよね」

「ワタシにも暫くはゆっくりしたいわ。装備と武器のメンテナンスしたいのよね」

「止めるでござるよ。変なフラグが立ったらどうするでごさる」



「「「「…………」」」」


イベント終わったばっかりなのに、次のイベントの話とかいやなのだが……物凄くあり得そう。

皆同じ事を思ったのかピタリと箸が止まっている。


『小僧食べないのか?……ならその肉団子が食べたい』


「ん?あぁ、これな」

クロウが作ったわたあめ専用の小さな椅子。

それににちょこんと行儀良く座ってる姿は微笑ましい。

肉団子を小皿に取り分けて、そのままだと食べにくいだろうから箸で小さめにしてやる。

美味しそうに頬張る姿が可愛い。

スクショ取っておこう。




しかし彼らはまだ知らない。

クリスマスから年越しをも越え三が日さえ過ぎ約1ヶ月にも及ぶ長期大型イベントが開催される事を。

今回の無人島よりも寒い極寒の地に送られキレ散らかすヨウスケ。

以前から要望が多かった忍者、くノ一が実装されいつになく暴走するサカイ。

それを止めようとするが何故か巻き込まれるツクヨミ。

和風な職業が実装されたなら刀や米、まだ見ぬ食材があるかもしれないと脱走する俺とわたあめ。

何故かバージョンアップして現れる双子の魔人。


そして再びクロウのブラックが降臨する!!



だが、これはまた別の機会に話そう……




「あ、わたあめの部屋も作らないとな……」

『儂は別に小僧と一緒の部屋でもよいが?』

「プライベート空間は必要じゃない?……となると、俺の隣の空き部屋でいいか」

取り敢えず必要な物をピックアップしていく。

足りない家具とかはクロウに頼めば作ってくれるだろうが、クランハウスで使ってない家具もあるから大体は揃うかな。


「あ、俺暇だし手伝いますよ~」

「力仕事なら任せてね、得意だし」

「某も手伝うでござるよ」

「ベッドだと寝にくくありませんか?布団……クッションとかどうです?」

『床で寝るのが落ちつくから布団のがありがたいかの……』


さっきまでのぐうたらさはどこへやら。

あぁでもないこうでもないと盛り上がっている。


「んじゃ、始めるか!」


「「「「『オーっ!!』」」」」




―今日も俺はこの世界で偽りの仮面を被る。


―大切な仲間と共に……




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

能ある鷹は偽りの仮面を被る 亜依朱 @rokudouarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ