僕の部屋の押入れがダンジョンに繋がっていた件〜僕だけの『亜空間ダンジョン』でレベリングし、世界最強へと至る〜僕をいじめていた奴らは後悔してももう遅い〜

taki

第1話 10歳の誕生日&ユニークスキル


この世界にダンジョンが出現してから二十年が経過した。


かつてはモンスターとかレベルとか、あるいはスキルといった概念が存在しない平和な社会があったというが僕の生まれる前なのでわからない。


いったんは地上に溢れ出したモンスターたちも今は政府軍によって鎮圧され、現在彼らの住処はダンジョンの中だけとなっている。


初めダンジョンは人類を絶滅させかねない脅威と捉えられていたが、むしろ今は、石油や石炭に代わる新しい資源『魔石』をもたらす、重要な『財』として扱われている。


政府はダンジョンにもぐり、モンスターを倒して魔石を持ち帰る者たちを『探索者』と名づけ、彼らを支援した。


探索者たちは、ダンジョンがこの世に出現すると同時に全人類に芽生えた『スキル』という力を駆使して、危険の多いダンジョンにもぐり日々モンスターと鎬を削っている。



「楽しみね、裕太」


「お父さん、裕太がどんなユニークスキルを授かるのか、とてもワクワクしているぞ!」


表情を輝かせながら、両親がそんなことを言ってくる。


「うん…」


今朝からなんだか嫌な予感がする僕は、僕本人よりも興奮している両親に曖昧な頷きを返す。


今日は僕、雨宮裕太の10歳の誕生日。


人は皆、10歳の誕生日にユニークスキルとステータスを授かる。


例外はない。


この世界の住人なら誰しもがそうなるのだ。


一体どのような仕組みでユニークスキルやステータスが人々に芽生えるのか、未だ解明されていない。


僕が生まれる前……正確にはダンジョンが出現する二十年前は、そもそもスキルやモンスターという概念すら架空のものだったらしいのだが、僕からしたら信じられない。


「裕太がSランクスキルを授かったりしてな…!」


「裕太がものすごいユニークスキルを手に入れてすごい探索者になったら……我が家も安泰ね。うふふ」


両親はすでに取らぬたぬきの皮算用を始めている。


僕は家の居間で、どうかいいユニークスキルがもらえますようにと神様に祈りを捧げた。


「そろそろよ…!」


「くるぞ…!」


両親が時計を見ながらいった。


間も無く、俺の生まれた時刻になるらしい。


僕が10歳になるその瞬間に、ユニークスキルが芽生え、ステータスが見れるようになるらしい。


“お願いします…どうかいいユニークスキルをください…!”


僕は目を瞑って両手を合わせる。


ここで授かるユニークスキルは非常に重要だ。


なぜならユニークスキルの有用さがその後の人生に直結するから。


早い話が、ユニークスキルが強ければその後の人生は安泰。


そしてユニークスキルが弱ければ、人生は一気にハードモードへと突入する。


「「さん…に…いち…」」


両親がカウントダウンをする。


“わがままは言わないです…せめて普通のスキルを…”


僕が心の中でそう祈った直後のことだった。


頭の中に俺のユニークスキルが浮かんできた。


「時間になったぞ…!」


「ど、どうだった…?裕太…?」


両親がワクワクしながら僕に聞いてきた。


僕は信じられない思いで、自分のユニークスキルを口にした。


「ぼ、僕のスキルは……『迷宮発見』です」

「は…?」


「え…?」


両親がポカンとする。


「一体どういうスキルなの?裕太…?」


「裕太。そのスキルのランクは幾つなんだ?」


両親がまだ希望はあるというように聞いてくるが、俺僕は泣きそうになりながら正直に答えた。


「『迷宮発見』の能力は、ダンジョンを発見するというものです……そしてランクは……Gランクです」


「「あっ…」」


両親が察した表情になる。


この日、僕の人生は一気にハードモードへと突入した。















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